米国株が反発、暗号資産回復と利下げ観測が後押し

市原 陽葵
经过
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市場の持ち直しを示す動き

2日の米国市場では主要株価指数がそろって上昇し、投資家のリスク許容姿勢が戻る展開となった。ダウ平均は前日比185ドル高の4万7474ドルで取引を終え、ナスダックもプラス圏を維持した。暗号資産市場の下落一巡が市場心理の改善につながり、寄り付き直後から買いが広がる状況となった。とくに前日に売られていたテクノロジー関連で需要が回復し、指数全体の押し上げ要因となった。

ビットコイン動向が投資家心理に影響

代表的な暗号資産であるビットコインは、前日に8万4000ドルを割る場面を見せたものの、2日には9万2000ドル台に戻した。急速な価格変動が収まりを見せたことで、リスク資産に向かう資金が再び動き始めた。市場関係者の一部は、この反発が投資家の意欲回復を示すものだとの見方を示している。暗号資産の価格変動はこれまでも株式市場の心理に影響を与えており、今回も同様の連動が確認された。

金融政策を巡る観測が相場を支援

9〜10日に予定されている米連邦公開市場委員会では、0.25%の利下げが行われる可能性が高いとの予測が市場で強まっている。短期金利先物の動きから推計される利下げ確率は2日時点で9割近くに達し、政策金利に関する不透明感が後退したことが買い材料となった。さらに、トランプ大統領が2026年初めに次期FRB議長候補を公表する意向を示したことが報じられ、金融緩和が継続するとの見方が広がった。国家経済会議のハセット委員長が候補として注目されている点も、市場に影響を及ぼしている。

企業動向とセクター別の値動き

個別銘柄ではAI関連の堅調さが目立ち、モンゴDBやクレド・テクノロジー・グループが市場予想を上回る決算と見通しを発表した。AI需要の継続を背景に投資資金が集まり、関連銘柄全体の安心感につながった。このほか、ボーイングが航空機納入やフリーキャッシュフローに関する前向きな見通しを示したことで10%の大幅高を記録した。一方、ディズニーやコカ・コーラなど一部の消費関連銘柄は軟調に推移した。セクター別では資本財やサービス分野が上昇し、エネルギー関連は売りが優勢となった。

市場環境の変化が示す今後の視点

株式市場は暗号資産の反発と金融政策への期待が重なり、短期的な持ち直しを見せた。長期金利の伸び悩みも上昇を後押しし、市場全体の安定感が強まる結果となった。シカゴの日経225先物は大阪取引所の日中比285円高となり、海外投資家のリスク志向が日本市場にも波及した側面がある。加えて、ADR市場では主要日本株がまちまちとなるなど、地域ごとの温度差が意識される状況となった。今後も暗号資産の動向やFRBの政策に関する見方が相場の重要な判断材料となる見通しである。

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