日経平均続伸、市場は政策判断を前に慎重姿勢示す

河本 尚真
经过
読了目安: 10 分

東京市場の動きを示す概況

9日の東京株式市場では、日経平均株価が小幅ながら上昇し、5万0655円で取引を終えた。前日の米国市場で半導体関連が堅調だった流れが日本にも波及し、序盤から値がさ株を中心に買いが入った。上昇幅は一時200円超まで拡大したが、主要な政策イベントを前に相場全体の慎重な姿勢が強まり、取引時間中には前日終値を下回る場面もあった。金融政策動向を注視する投資家が多く、市場は方向性を見出しづらい展開となった。

半導体株とAI関連が支えに

米国でSOX指数が約1カ月ぶりに高値を更新したことが投資家心理を下支えした。エヌビディアをはじめとする米半導体株の上昇を受け、東京市場でも東エレクやディスコといった主力半導体株に買いが集まった。また、AI技術を用いて機械やロボットを自律的に制御する「フィジカルAI」に関連する銘柄も上昇し、相場の押し上げ要因となった。ファナックは7年11カ月ぶりの高値を付け、安川電機や川崎重工の株価も上向いた。技術セクター全体に資金が流入しやすい地合いが続いた。

相場の重さを示す売り圧力

一方で、国内債券市場では長期金利が低下したものの、先行きの金利上昇観測は根強く、株式市場には戻り売りも散見された。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の6割を占め、個別銘柄の値動きはまちまちとなった。市場では、日銀総裁が9日夕方に参加するイベントで金融政策に触れる可能性が意識されているほか、11日早朝に予定されるFOMCの結果公表が控えており、持ち高調整が進みやすい環境だった。特に主力株では利益確定の売りが優勢となる場面が目立った。

金融政策への警戒感強まる

市場関係者の間では、12月の日銀会合での利上げ観測や、FRBによる利下げ観測がすでに織り込まれつつあるとの見方が共有されている。しかし、両中銀が市場予想どおりの判断を示さない可能性も意識され、投資家がポジションを偏らせにくい状況となっている。フィリップ証券の市場関係者は、日米中銀がいずれも慎重な姿勢を維持するリスクに言及し、大きな方向性を持った取引が生まれにくいと指摘した。また、国内政治では、2026年の衆院解散の可能性が意識されるなど、相場の下支えとなる要素もあるが、積極的に相場を押し上げるほどの材料にはなっていない。

個別銘柄の動きと市場指標

東証株価指数(TOPIX)は3384.92と小幅な上昇で引け、JPXプライム150指数もわずかながらプラス圏を維持した。東証プライム市場の売買代金は4兆8935億円、売買高は20億4509万株となった。個別銘柄ではソフトバンクグループ、レーザーテク、イビデン、住友電工、塩野義製薬、第一三共が買われた。一方、ファーストリテイリング、TDK、ダイキン工業、任天堂、コナミグループ、三井不動産が売られた。政策判断を控えた投資家の慎重な取引姿勢が、相場の値動きを限定的なものとした。

この記事をシェア