ゲーム通貨不正取得で12人摘発、警視庁が警鐘

小野寺 佳乃
読了目安: 7 分

オンラインゲーム通貨3,000万円相当が不正取得判明

警視庁は2025年7月1日、オンラインゲーム内で使用可能な通貨を不正に入手したとして、ゲームユーザー12人を電子計算機使用詐欺の疑いで摘発した。詐取された通貨の総額は約3,000万円相当に上る。容疑者らは、正規の価格よりも大幅に安く仮想通貨を入手するため、いわゆる「課金代行業者」を利用していた。

「課金代行業者」とは何か、その手口の実態

この手法では、ゲーム運営企業を装って通貨を不正に取得する「課金代行業者」が介在していた。容疑者たちは、「リアル・マネー・トレード(RMT)」専用サイトに掲載された「課金代行します」との募集に応募。代行業者に対し、正規価格の2%〜6%の支払いでゲーム内通貨を入手していた。

ゲーム大手2社からの不正取得が確認される

詐取の対象となったのは、大手ゲーム会社である「セガ」および「スクウェア・エニックス」が提供するゲーム内通貨だった。警視庁によると、これらの会社が運営する複数のオンラインゲームで、不正ログインなどの手段を用いた通貨の取得が行われていたとみられる。ゲームシステムを悪用したこのような不正は、企業に深刻な損害を与えるとともに、利用者全体の信頼を損なう行為とされる。

被疑者の供述と課題となる倫理意識

12人のうち11人は、「グレーゾーンだと思っていたが違法とは知らなかった」と供述。一方で1人は黙秘している。安価な通貨取得の誘惑と違法性への認識の甘さが、こうした行為を招いた可能性が高い。利用者の倫理意識の欠如が、犯罪の温床になりかねないという点が浮き彫りとなった。

課金代行被害は累計10億円超、警察が強く警告

警視庁は、「課金代行業者の利用は明確な違法行為にあたる可能性がある」として、一般ユーザーに対して強く注意喚起を行っている。これまでに確認された同様の被害額は10億円を超えており、警察は引き続き全国的な取締りを強化する方針。今後は、ユーザー教育やシステムの不正対策強化も求められる状況にある。

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