石破首相が坂口教授に祝電、がん免疫研究の未来に期待

浅川 涼花
经过
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ノーベル生理学・医学賞、日本の研究者が受賞

大阪大学の坂口志文栄誉教授(74)が、免疫を抑制する「制御性T細胞(Treg)」の発見で2025年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。カロリンスカ研究所は、坂口氏のほか米国のメアリー・ブランコウ博士とフレデリック・ラムズデル博士の3人に授与を決定。人類の免疫疾患治療に新しい道を開いた業績が評価された。

石破首相が祝意、「がん治療の行方は」

6日夜、石破茂首相は坂口氏に電話をかけ、「世界に誇る成果だ」と称賛したうえで、「がん治療の行方についてどう見ているか」と質問した。坂口氏は「免疫療法の効果は20~30%程度にとどまっているが、免疫反応を高めることで成果を上げられる」と述べ、「科学の進歩ががん克服の時代を必ずもたらす」と語った。

長年の研究が結実、認められなかった時代も

坂口氏は1985年、免疫の働きを抑える細胞の存在を論文で示したが、当初は理解を得られなかった。1995年に制御性T細胞を識別する分子を発見し、2000年代初頭にその重要遺伝子が確認されると、世界の研究が一変した。かつて孤立した理論は、いまや免疫学の中心的概念となっている。

日本人の連続受賞で国際的存在感強まる

ノーベル賞における日本人の受賞は、前年の日本被団協に続き2年連続となる。個人受賞としては29人目、生理学・医学賞では本庶佑教授以来7年ぶり。基礎科学への長期的な投資が国際社会で実を結んだ形だ。

御性T細胞研究が切り開く次世代医療の可能性

制御性T細胞の応用は、がん治療、臓器移植、自己免疫疾患治療など多岐にわたる。坂口氏は「科学が前進すれば、がんは怖い病ではなくなる」と強調し、研究支援の重要性を訴えた。授賞式は12月10日にストックホルムで行われ、賞金1,100万スウェーデンクローナが3人に授与される予定である。

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