OpenAIがAMD製GPUを大規模採用
人工知能(AI)開発を主導するOpenAIは、AI処理能力の強化を目的としてAMDと新たな契約を結んだ。契約内容は、今後数年間で6ギガワット(GW)規模のAMD製GPUを導入するというもので、AIインフラ整備の柱となる。初期段階として、1GW分の「Instinct MI450」が2026年下半期に供給開始予定とされている。
契約規模は数百億ドル AMD株急騰
AMDによると、この提携は数百億ドル規模の収益を見込む。発表を受けて同社株は6日の時間外取引で一時28%高の211.18ドルまで上昇し、AI関連市場での期待感が鮮明となった。契約では、OpenAIの進捗に応じて最大1億6,000万株分の新株予約権が発行される。AMD株価が1株600ドルに達することを条件とする部分も含まれており、長期的な企業価値向上を織り込んだ内容となっている。
両社の技術連携がAI市場を加速
OpenAIは今回の提携により、AMDを「中核パートナー」と位置付け、同社のInstinct MI450シリーズから将来の世代までを段階的に採用する方針だ。両社はハードウェアとソフトウェアの両面で連携し、MI300X GPUなどの次世代製品群の最適化も共同で進める。AMDのリサ・スーCEOは「この提携はAIエコシステムを前進させる真のウィンウィンだ」と述べた。
NVIDIAとの競争が一段と激化
AMDはこれまで、AI向けGPU市場でNVIDIAに大きく後れを取っていた。しかし今回の契約により、同社はOpenAIとの協業を足がかりに市場での地位向上を図る。OpenAIは既に9月にNVIDIAとも10GW規模のAIインフラ構築契約を発表しており、世界のAI需要拡大に対応するための競争はさらに加速している。
巨額投資が象徴するAI時代の電力競争
AIの開発には膨大な演算処理が求められ、その結果、電力需要も急速に拡大している。OpenAIが進めるインフラ整備は、ニューヨーク市のピーク電力使用量に匹敵する規模に達するとされる。サム・アルトマンCEOは「AIの未来を支えるために、兆単位の投資を行う」と述べており、今後は半導体供給と電力確保が競争力の鍵となる見通しだ。