技術支援の打ち切りで世界中の端末が影響
米マイクロソフトは2025年10月14日、「Windows 10」の技術サポートを終了した。セキュリティ対策や不具合修正の提供が停止され、これまで保護されてきた端末が脆弱性を抱える状態となる。世界中で利用されるOSだけに、個人・企業を問わず広範な影響が及ぶとみられる。
更新停止がもたらす情報流出とシステム不安
サポート終了後の端末は、インターネット接続を続ける限りウイルス感染や不正アクセスにさらされる。新種の攻撃が発生しても防御ができず、個人情報や業務データの漏洩につながる恐れがある。企業のIT部門では、システム更新の遅れが業務停止の要因となる可能性も指摘されている。
最新OS「11」への早期移行を強調
マイクロソフトは、「進化する脅威に対応するためには最新のOSが必要」として、Windows 11への切り替えを推奨する。更新は無償だが、ハードウエア要件を満たさない古いPCは対象外となる。性能不足の機器では十分なセキュリティを確保できないとし、同社は「ソフトとハードの両面からの防御が必要」としている。
有償更新サービスと一時的な延命措置
移行準備が間に合わない利用者向けに、最長3年間の有償セキュリティ更新プログラムを導入した。個人向けは年額30ドル、法人向けは61ドルから244ドルまで年々上昇する。条件を満たす場合は1年間の無料提供も行われるが、恒久的な対策ではない。マイクロソフトは「早期のOS移行こそ最も安全な選択」と説明している。
国内利用者4割が移行遅れ、政府が注意喚起
日本では9月時点で約4割の端末がWindows 10を使用しており、更新の遅れが大きな課題となっている。総務省は「修正プログラムを速やかに適用し、常に最新状態を保つ必要がある」と指摘。企業・自治体にも対応を求めている。サポート終了を契機に、老朽システムの刷新とサイバー防衛体制の再構築が進む見通しだ。