ダークパターン対策本格化、信頼性可視化へ新制度

滝本 梨帆
经过
読了目安: 7 分

消費者誘導を防ぐための新たな認定制度が始動

インターネット上で誤解を生じさせる「ダークパターン」への対抗策として、ダークパターン対策協会が「NDD(非ダークパターン)認定制度」を開始した。
この仕組みは、企業が利用者を不利な選択に導く手法を排除し、透明な取引環境を確保することを目的としている。認定を受けた企業は、ウェブサイトに専用ロゴを表示し、利用者が安心して取引できる指標となる。

三段階の審査を通過した企業にのみ認定を付与

制度では、まず事業者自身が自己審査を行い、次に消費者団体や金融機関が一次審査を実施する。
最終的には協会が審査結果を確認し、認定を付与する三段階のプロセスを採用した。
この審査体制には、地方銀行などの金融機関も参加を予定しており、取引条件に反映させることで健全なウェブ運営を促進する狙いがある。

年内に20社超の認定を予定、幅広い企業が参加

協会によると、すでに約20社が審査を受けており、年内の認定を目指している。
対象は電子商取引サイトや企業公式サイトなど多岐にわたり、利用者に誤解を与える表現を排除した設計が求められる。
認定費用は中小企業で年間10〜15万円程度、大企業で50万円超とされ、日本生命保険やNTTドコモなどが正会員として手続きを進めている。

通報制度と教育活動で被害防止を強化

協会は7月に通報窓口「ダークパターン・ホットライン」を設け、3か月で60件超の情報が寄せられた。
報告には「キャンセル方法が記載されていない」「選択していない商品が自動追加された」といった内容が目立つ。
また、消費者庁と文部科学省が監修した子ども向け教育動画も公開し、誤誘導への注意喚起を進めている。

包括的な法整備の遅れを補う民間主導の動き

協会の小川晋平代表理事は、「日本では包括的な禁止法が整っていない」と指摘し、民間による自律的対策の重要性を強調した。
欧米では「欺瞞的デザイン」として法規制の対象となっており、国際基準との整合も課題となる。
協会は今後、中小企業支援と利用者教育の両面での取り組みを広げる方針だ。

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