デジタル版の低価格モデルを発表
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は11月12日、家庭用ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」の日本語専用モデルを21日に発売することを明らかにした。新モデルはディスクドライブを搭載しないデジタル専用機で、価格は5万5000円。現行モデル(7万2980円)と比べると1万7000円以上の差があり、実質的な値下げとなる。利用可能な言語は日本語のみで、対象は日本アカウントに限定される。
国内限定仕様でコスト削減を実現
今回の新モデルは、従来のPS5と同等の性能を維持しながらも、対応言語や地域を制限することでコストを削減した。データ容量の一部仕様が異なるものの、プレイ体験自体に大きな差はない。購入後に別売りのドライブユニットを装着すれば、パッケージソフトにも対応可能となる。販売は13日から順次予約を開始し、全国の主要販売店およびECサイトで受け付ける。
値上げを経て再び価格を引き下げ
PS5は2020年の発売以来、原材料費や物流費の上昇を理由に価格改定を重ねてきた。発売当初のデジタル版価格は4万3978円だったが、近年の値上げで7万円台に到達していた。SIEは今回の価格修正を通じて、国内市場での購買意欲回復を狙う。これにより、長期的に続いた「高価格化」への不満を和らげる効果が期待される。
販売台数で見える利用傾向の偏り
「ファミ通」によると、2025年11月2日時点での国内累計販売台数は、ディスク搭載版が584万台、デジタル版が102万台、高性能モデルが26万台となっている。デジタル版の普及は限定的で、従来の価格差が要因の一つとみられる。SIEは今回の値下げにより、デジタル版の普及率向上とオンライン販売の強化を進めたい考えだ。
任天堂の成功が引き金に
今年6月に登場した「ニンテンドースイッチ2」は、国内向けの低価格モデルを導入したことで販売が好調に推移。国内累計販売台数は255万台に達し、世界販売見通しも上方修正された。SIEはこうした競合の動きを踏まえ、日本市場での価格競争力を強化する姿勢を示した。今回の戦略転換は、国内ゲーマーの支持を再び獲得するための重要な一手といえる。