インスタとワッツアップ買収訴訟でメタに有利な判断が示される

小野寺 佳乃
読了目安: 8 分

ワシントンDC地裁がメタの買収を巡る訴えを却下した事実が判明

メタがインスタグラムとワッツアップを買収した件について、ワシントンDCの連邦地裁は18日、FTCが主張していた独禁法違反を認めない判断を示した。裁判所は、買収によりソーシャルネットワーク市場が違法に支配されたとは立証されていないとした。買収から10年以上が経過する中で続いていた大規模訴訟は、今回の判断でFTC側の主張が届かなかった形となった。

連邦取引委員会が主張した市場独占の論点が退けられた理由を示す

FTCは2020年、メタがSNS市場で支配的地位を占め、競争を阻害したと主張して提訴した。訴訟では、競合企業が不利な状況に置かれたとする構図を示そうとしていた。一方でメタは、TikTokやYouTubeなど多様な競合が存在する環境を強調して、独占の構造には該当しないと反論した。双方の立場の違いが裁判を通じて明確になり、市場構造の評価が大きな争点となった。

判事が指摘した市場環境の変化と立証の難しさを分析した判断が示される

ボースバーグ判事は、SNS分野では新サービスが急速に登場し、利用者の動向や機能の更新が繰り返されると指摘した。そのため、明確な市場の境界を設定すること自体が難しく、現在もメタが独占的な力を持ち続けているとの証拠はFTCから提示されていないと判断した。この見解が今回の結論の根拠となり、デジタル産業の規制を考える上で重要な論点が示された。

メタが示した事業継続方針と米国内投資に関する姿勢を発表

メタは判決後、米国での投資を継続し、政府との連携を続ける姿勢を明らかにした。同社は、競争環境の厳しさが改めて認識されたことを強調し、利用者や企業にとって利点を提供し続けると述べた。広報担当者は今回の判断について、同社のサービスが米国経済に寄与してきた側面を示すものだと評価した。

FTCの反応待ちとデジタル独禁法政策への影響が焦点となる状況が続く

FTCは現時点で今回の判断に対する公式コメントを示していない。2020年に提訴した連邦政府にとって今回の結果は大きな後退となり、デジタル分野の独禁法政策に影響が及ぶ可能性が指摘されている。主要SNS企業を巡る市場支配の評価は今後も議論が続く見通しで、規制当局の対応が注目される。

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