生成物の相次ぐ類似問題が明らかに
日本民間放送連盟は26日、会員各局が持つ映像作品と酷似する生成物が確認されている状況を受け、生成AI開発企業に対し無許諾でのデータ利用を避けるよう声明を出した。動画生成技術の高度化により、アニメや報道番組に似た映像が容易に拡散する現象が続いており、権利保護の観点から深刻な問題として扱われている。声明では特定サービスに限定せず、広範な事業者に対策を求め、会員企業の著作物が学習データとして扱われている可能性を強く指摘した。
学習元の推定映像が流通した実態が判明
民放連は、インターネット上に会員企業の番組を参考にしたと推測される映像が複数投稿されている点を問題視した。特に、米企業が公開した動画生成AIが作成したとされる映像がアニメ作品と類似性を持つ事例が散見され、権利侵害の懸念が高まっている。声明では、これらの映像が無許諾の学習に基づくものと考えられると記載し、開発者側が自発的に調査と対応を取るよう促した。映像流通の速度と規模が拡大している現状では、早急な対応が求められると判断している。
報道分野での影響拡大の可能性が指摘
声明では、報道番組の映像がディープフェイクとして生成される事態を特に懸念している。報道内容が改変された形で拡散すれば、社会生活に重大な混乱を引き起こすおそれがあるためである。映像の信頼性が問われる場面が増える中、民放連は報道分野の安全性確保が急務とみている。生成AI技術の発展に伴い、真偽の境界線が曖昧になるリスクが拡大しつつあるため、各企業に慎重な取り扱いを求めている。
開発者側への削除と再発防止策が要請
民放連は、すでにネット上で拡散している類似映像について、開発者が削除に向けた措置を取ることも求めた。権利者に許可なく学習した結果生じた生成物が確認された場合、迅速な削除対応を行うことが重要だとしている。さらに、今後同様の事態を防ぐため、データ収集の手順や学習プロセスの透明性向上など、再発防止策の導入を促した。AI産業全体が信頼を維持するためにも、開発者の適切な管理体制が欠かせないと強調した。
著作権保護の強化が求められる状況が継続
声明では、生成AIの学習には権利者の事前の同意が不可欠であると改めて示した。会員企業から著作権侵害に関する申し立てが寄せられた場合には、開発者が誠実に対応する必要があるとした。技術発展が著しい中、法的枠組みと運用の整備が追いついていない現状が指摘されており、権利保護の強化が今後の重要課題となっている。民放連は引き続き状況を注視し、業界全体での対応を進める方針を示した。