スイス国立銀行、物価低迷で政策金利を再び0%に

嶋田 拓磨
经过
読了目安: 5 分

約3年ぶりの0%水準に引き下げを決定

スイス国立銀行は2025年6月19日、政策金利を0.25%から0%へと引き下げた。2022年9月のマイナス金利解除以来、約3年ぶりの水準となる。国内ではデフレ傾向が進行しており、中央銀行の柔軟な対応が再び焦点となっている。

消費者物価の下落傾向が影響

最近のスイスでは消費者物価指数がマイナス圏に入り、先月は前年同月比で0.1%の下落を記録した。これは、物価全体の下方圧力が続いていることを示しており、中央銀行がデフレ回避の姿勢を強める要因となっている。

為替市場でのフラン高が国内価格を押し下げ

通貨高も物価下落の一因である。トランプ米政権が再び関税政策を打ち出した影響で、為替市場では安全資産とされるスイスフランへの需要が急増。これにより輸入品の価格が低下し、国内市場の物価にも下押し圧力がかかった。

経済見通しの不透明さを背景に判断

スイス国立銀行は声明の中で、「経済の先行きは依然として不透明であり、海外の経済動向が主要なリスク要因である」と言及した。利下げは、物価の安定化だけでなく、国内経済の減速に対応する目的もあるとみられる。

中央銀行の対応に今後も注目集まる

今回の政策転換により、スイス国立銀行が今後もインフレ動向と為替変動に対して迅速に対応していく姿勢を鮮明にした。グローバル経済の不確実性が続くなか、スイスの金融政策は引き続き注目を集めることになりそうだ。

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