米政府、8月1日を交渉期限に設定
トランプ前大統領は7月7日、貿易赤字の是正を名目に、日本を含む14か国に関税適用を通知した。すでに一時凍結されていた「リベレーション・デー関税」の適用期限を8月1日まで延長し、それまでに貿易協定が成立しない国には、25%から最大40%台の関税を課すと警告している。
日本政府は冷静な交渉姿勢を維持
この動きに対し、日本の交渉担当である赤沢亮正経済再生担当相は8日、「包括的な合意に向け、米側との対話を続ける」と述べた。赤沢氏は、農業分野には一歩も引かない一方で、自動車関連の関税については「合意に不可欠」と明言。米国商務長官との協議も継続しており、選挙を目前に控える中で政府は慎重な立場を保っている。
トランプ書簡、対米投資を強く促す内容に
公開された書簡の中でトランプ氏は、日本を「素晴らしい国」と評しつつも、米国との貿易が不均衡であると主張。「日本の輸出品のうち25%に課税する」と明言した上で、「米国内で生産すれば関税はゼロになる」と、企業に米国での製造移転を促す文言も盛り込まれていた。書簡の末尾では、「これらの関税は、関係次第で引き下げまたは引き上げる」と含みを残している。
対象国はアジア・アフリカ中心 BRICSもけん制
今回の関税措置は、韓国、マレーシア、ラオス、カンボジアといったアジア諸国に加え、南アフリカ、チュニジア、セルビアなど多地域に及ぶ。さらにトランプ氏はBRICS諸国に対し、「反米姿勢を取れば10%の追加課税を行う」と明言。これに対し、南アフリカ政府は「根拠を欠いた一方的な制裁だ」と反論している。
日系企業は対応急ぐも出口見えず
日本企業にとって、対米輸出市場は今なお不可欠である。2023年時点で米国は最大の輸出先であり、特に自動車産業は輸出比率が高い。米国向けの輸出価格が上昇すれば、メーカー各社は利益圧迫や価格転嫁に直面する可能性がある。一部では米国内での生産拡大を模索する動きも出ており、外資系工場の立地交渉が活発化する兆しもある。