接近飛行が続発し偶発的衝突の危険浮上
東シナ海上空での中国軍機による自衛隊機への異常接近が、再び日本政府の懸念材料となっている。2025年7月9日と10日、中国のJH7戦闘爆撃機が連続して航空自衛隊のYS11EB機に極めて近い距離で接近したことが明らかとなり、外交・安全保障両面で波紋を広げている。
同型機が異なる日に同様の行動を実施
防衛省の説明によれば、9日は午前10時50分から11時5分の間、1機のJH7が自衛隊機に接近し、追い抜きや旋回を繰り返した。翌10日も、ほぼ同時間帯に別のJH7が再び接近行動をとっていた。いずれも70メートル前後の距離で、自衛隊側は重大な安全保障上の問題と受け止めている。
外務省が異例の即時対応で中国に抗議
この事態に対し、船越健裕外務次官は10日中に中国の呉江浩駐日大使を召喚し、深刻な懸念を伝えた。防衛省は交信記録や具体的な意図の有無については「情報開示が困難」としているが、関係機関内では「偶発的衝突のリスクが高まっている」との声が上がっている。
継続する中国側の接近行動に懸念の声
このような接近行動は2025年6月にも確認されており、中国空母「山東」からの発艦機が海自の哨戒機に接近し、45メートルの至近距離で飛行した例がある。また、機体前方を横切る行動や長時間の追尾も行われていたことから、日本側は「組織的行動の可能性」を視野に入れている。
繰り返される接近事案、過去事例と比較も
中国軍機による航空自衛隊機への異常な接近は、2014年にも発生しており、今回で確認されているだけでも通算4回目となる。防衛省は中国側の明確な意図をつかめていないが、同様の行動が繰り返されていることから、その動向に警戒を強めている。接近が起きた空域の具体的な場所や交信の有無については、依然として公表されていない。