イスラエル、シリア政府に空爆 ドルーズ派衝突拡大

市原 陽葵
经过
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南部スワイダでの紛争が軍事行動に発展

シリア南部スワイダ県では13日以降、ドルーズ派住民とスンニ派系の遊牧民ベドウィンとの対立が激化していた。これを受けて15日、イスラエル軍が現地に展開中のシリア政府軍に対し空爆を行った。イスラエルは、国境周辺の安全確保とドルーズ派住民の保護を行動の根拠に挙げている。

ドローンと戦闘機による一連の攻撃が続発

現地の報道によれば、イスラエルは無人機による攻撃の後、大規模な空爆をスワイダおよびダマスカスに対して実行した。16日にはシリアの首都中心部にある国防省や大統領府周辺でも爆発が確認され、建物の一部が破壊される被害が報じられている。アルジャジーラの映像では、黒煙と建物の瓦礫が映し出され、事態の深刻さを物語っていた。

イスラエル、国境地域の非武装化を強調

イスラエルのネタニヤフ首相とカッツ国防相は共同声明を発表し、「イスラエル国内のドルーズ派市民との連帯を踏まえ、シリアのドルーズ派を保護する責務がある」と強調。また、国境地帯の安定を維持する目的で、非武装地域の確保に取り組んでいると説明した。今回の空爆はその一環と位置づけられている。

シリア政府は主権侵害と非難し反発

シリア外務省は、イスラエルの空爆を「露骨な主権の侵害」と強く非難し、「今回の攻撃とその犠牲の責任はイスラエルにある」との見解を示した。また、政府軍と民間人に多数の死傷者が出たことを明かしつつ、正確な死者数は明らかにしていない。アブカスラ国防相は、攻撃が続かない限り、政府軍は応戦しない姿勢を示している。

米政府が介入、イスラエルに攻撃停止を要請

米ニュースサイト・アクシオスの報道によれば、米トランプ政権はイスラエルに対してスワイダなどへの空爆を中止するよう要請したとされる。これを受け、15日夜にイスラエルは攻撃停止の意向を示したと伝えられている。バラック米特使も関係各国と連絡を取り、「平穏と統合」に向けた努力を継続していると述べた。

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