遺跡近くで交戦が勃発、双方が発砲主張
2025年7月24日、タイ北部スリン県に位置する遺跡周辺で、両国軍による交戦が発生した。タイ軍はカンボジア軍の先制発砲に対して反撃したと説明しているが、カンボジア側はタイ軍の攻撃が発端だったと反論し、両国の対立はさらに深刻化している。
タイ側に複数の死傷者、軍が報復攻撃か
タイ当局の発表によれば、民間人を含む11人から12人が死亡し、28人が負傷している。戦闘は国境付近の複数地域に拡大し、商業施設を巻き込む被害も確認された。タイ軍は戦闘機を投入し、カンボジア軍の拠点に対して空爆を実施したとされているが、カンボジア側の被害の詳細は明らかにされていない。
地雷による負傷事件が衝突の引き金に
事態の背景には、地雷による負傷事件が連続して発生していたことがある。16日と23日には、タイ兵が地雷で重傷を負い、タイ政府はカンボジア側の仕掛けによるものと断定。これにより両国の外交関係は悪化し、相互に大使の退去や召還を行う緊迫した展開となった。
政府間で責任の押し付け合いが続く
この武力衝突をめぐっては、双方が責任の所在を巡って激しく対立している。カンボジアのフン・セン前首相はSNSで自国の2州が砲撃されたと投稿し、国民に冷静さを求めた。これに対して、タイ政府も事実無根と反論し、外交関係の格下げに踏み切った。
国際社会も事態を注視、中国が調停に意欲
地域の不安定化を懸念する中国政府は、双方に自制と対話を要請。中国外務省は24日の記者会見で、「中国は今後も情勢緩和に向けて建設的な役割を果たす」との方針を示した。国際社会による仲裁の行方が、今後の重要な鍵となる可能性がある。