トランプ氏がFRB議長を再び批判、利下げ論争激化

市原 陽葵
经过
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FOMCが金利据え置きを決定した影響

29〜30日に実施されたFOMCでは、政策金利を4.25〜4.50%に据え置くことが決定された。この結果を受けて市場では一時的に9月の利下げ期待が広がったが、パウエル議長が「現時点で判断するのは早い」と述べたことで後退し、ダウ平均株価は171ドル安、S&P500も値を下げた。

トランプ大統領がパウエル議長を非難

31日、トランプ大統領は自身のSNSでパウエル議長を名指しで批判し「ジェローム‘遅すぎ’パウエルがまたやった」と投稿した。さらに「高金利政策が国に数兆ドルの損失を与えている」とし、FRB本部改修工事についても「建築史上最も無能なプロジェクト」と非難した。

財務長官が後任候補公表の可能性に言及

ベッセント財務長官は同日、CNBCのインタビューで「年末までに非常に優れた候補者リストを発表できる」と述べ、パウエル議長の後任指名を視野に入れていると示唆した。また、来年初めに2つの理事ポストが空席となる見通しで、利下げ支持派が理事会で多数を占める可能性に触れた。

市場動向と投資家心理の変化

FRB声明では「労働市場は堅調でインフレ率はやや高止まり」と指摘され、利下げの慎重姿勢が示された。これにより、LSEGのデータでは利下げ確率が一時68%まで上昇した後に50%を下回った。投資家の間では、金融政策の不透明さと関税政策の影響が懸念材料として意識されている。

金融政策の見通しと市場への波及効果

パウエル議長はインフレ再燃リスクを避ける意向を強調し、利下げ時期の判断を先送りした。一方で、トランプ政権はFRBへの圧力を強めており、金融政策を巡る緊張はさらに高まる見通しだ。市場は次回FOMCの動向とパウエル氏の進退に注目している。

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