クック理事を巡る不正疑惑で調査が開始される見通し
米司法省は、連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事に対する調査を開始する計画を明らかにした。クック氏は住宅ローン契約を巡る不正疑惑が指摘されており、司法省高官はパウエルFRB議長に書簡を送り、理事会からの解任を促した。トランプ大統領も8月20日に辞任を求めており、FRB理事会を巡る緊張が高まっている。
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政権からの利下げ要求がFRB独立性を揺るがす
トランプ政権は景気刺激を目的に9月の利下げを強く求めている。大統領自身がパウエル議長に圧力をかけており、さらにベセント財務長官も9月の利下げ検討を公に発言した。これにより、FRBが本来持つべき政策決定の独立性が揺らぎつつある状況が浮き彫りとなった。
ジャクソンホール会合でパウエル議長が発言予定
こうした緊張の中、ジャクソンホール会合が8月22日に開催され、パウエル議長が講演を行う。7月まで5会合連続で金利据え置きを続けてきたFRBにとって、今回の会合は利下げを巡るスタンスを世界に示す舞台となる。市場では0.25%の利下げが織り込まれており、発言内容によっては為替や株式市場に即座に影響を与えるとみられている。
雇用市場の減速が金融政策に直結
直近の米雇用統計は予想を下回る結果となり、失業率の悪化や雇用者数の下方修正が明らかになった。これにより、景気後退リスクを警戒する市場はFRBによる追加緩和を期待している。ドルの下落や米国株の上昇といった市場の動きは、利下げ観測の強まりを背景にしている。
金融政策と政治圧力のはざまで揺れるFRB
FRBは9月FOMCを控え、雇用指標の悪化や市場からの利下げ期待、さらに政権からの圧力という三重の要因に直面している。司法省によるクック理事調査の行方も、理事会の信頼性に影響を与える可能性がある。独立性を守れるかどうか、FRBにとって極めて重要な局面を迎えている。