汚職有罪後の病院滞在に司法が判断を下した
タイの最高裁判所は9月9日、服役中にもかかわらず病院で過ごしていたタクシン元首相の扱いを「不適切」と断じ、1年間の刑務所収監を命じた。裁判所は健康上の問題は重大ではないと判断し、この期間を刑期に含めないとした。判決を受け、同氏はその日のうちにバンコクの刑務所へ送致された。
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恩赦と仮釈放を経て続いた影響力が問題視された
2023年8月に帰国したタクシン氏は禁錮8年の有罪判決を受けたが、すぐに病院へ移送された。高齢や健康状態を理由に刑期は1年に減刑され、2024年2月に仮釈放となった。その後も海外要人と接触し、政治的存在感を誇示したが、服役逃れとみなされて世論の反発を招いた。
タクシン氏が声明で示した決意が注目される
判決後、タクシン氏はSNSを通じて声明を発表し、「自由を失っても心身の力を保ち、王室や国家、国民に奉仕する」と述べた。自身の立場が大きく制約される中でも、国家への忠誠と公共への貢献を訴えた。
政権交代が進む中での判決の影響が浮上
直近では、次女ペートンタン前首相が憲法裁判所の判断で失職し、9月5日の首相指名選挙では保守派のアヌティン氏が新首相に選ばれた。これにより政権は交代し、タクシン派は政治的基盤を急速に失いつつある。
タクシン派の求心力低下と今後の展望が注目される
最高裁の判断により、タクシン氏の収監は現実のものとなった。長期的に影響を保ってきたタクシン派は試練に直面し、タイ政治における勢力バランスが変化する局面に差し掛かっている。