NATO加盟国で初の撃墜が確認
ポーランド国防省は9月10日、ロシアの無人機が同国領空に侵入し撃墜された事例が発生したと発表した。ウクライナ侵攻開始以来、NATO加盟国での撃墜は初めてで、事態の重大性が浮き彫りとなった。侵入は東部で発生し、4空港の一時閉鎖や戦闘機の緊急発進につながった。
ポーランド政府の危機認識
トゥスク首相は議会で「無人機19機が領空に侵入した」と説明し、国家安全保障にとって深刻な脅威であると強調した。さらにNATO条約第4条を発動し、加盟国と協議を開始。これにより北大西洋理事会が緊急会合を開き、軍事的対応の可能性も協議された。
ロシア側の否定と外交姿勢
ポーランド側が「計画的な攻撃」と非難する一方、ロシア国防省は「攻撃の意図はなかった」と声明を出した。意図的な侵犯を否定する立場を取りつつ、「対話の用意がある」と強調し、緊張緩和の余地を残した。
ゼレンスキー大統領が標的化を指摘
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによる夜間攻撃の際に「少なくとも8機の無人機がポーランドを狙った」と発言した。単なる偶発的な侵入ではなく、計画的な標的化であると訴え、「NATO領空への直接的な挑戦だ」と警鐘を鳴らした。
ウクライナでの被害と国際的呼びかけ
ロシアは同日夜、無人機415機とミサイル40発以上を投入し、ウクライナ各地に被害を与えた。ジトーミル州で1人死亡、他州で負傷者も発生した。ウクライナ外相のシビハ氏は「集団安全保障の観点から各国の防空システムで迎撃すべきだ」と呼びかけ、地域全体の安全保障協力を求めた。