デフレ懸念続く中国、物価下落と内需拡大策に注目

滝本 梨帆
经过
読了目安: 5 分

消費者物価が再び下落し経済に影響

中国の8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.4%減となり、再びマイナス圏に転落した。6月には一時プラスに転じたが、7月の横ばいを経て再び下落したことは需要の回復が力強さを欠く状況を示している。節約志向の高まりが価格低下に拍車をかけている。

食品価格と消費行動の変化が影響

国家統計局は、食品価格の低下に加え、前年同月の水準が高かったことが下落の背景だと説明した。さらに、自動車などの耐久財が節約志向の影響で値下がりし、消費の弱さを裏付ける結果となった。消費者の購買行動が抑制される中、物価安定への道筋は見えにくい。

生産者物価の下落が長期化

発表によれば、生産者物価指数(PPI)も前年同月比2.9%の下落を記録した。35か月連続のマイナスとなる一方、7月の3.6%減からは縮小した。依然として供給過剰が続く中で、価格調整が進んでいることがうかがえる。

デフレーターのマイナスが企業に重荷

中国経済全体を示すGDPデフレーターも9四半期連続で低下し、今年で3年目に入った。これは1970年代後半の経済改革以降で初めての事例であり、需給の不均衡が長期的に企業の収益を圧迫している。企業のバランスシートに負担が重くのしかかっている状況だ。

政府の対応と国際環境の影響

中国政府は内需拡大策を掲げ、効果的な消費刺激の実現を模索している。米中が相互に追加関税を引き下げたことは一時的に緊張を和らげたが、交渉次第では再び貿易摩擦が激化する可能性もある。景気の先行き不透明感が残る中、政策の実効性と国際環境の安定が注目されている。

この記事をシェア