中国、米エヌビディアの独禁法違反を認定

滝本 梨帆
经过
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中国当局が違反認定を公表

中国の国家市場監督管理総局は9月15日、米半導体大手 エヌビディア が独占禁止法に違反したと発表した。調査は予備段階の結果とされるが、正式に認定したことで、同社の事業活動に影響が及ぶ可能性がある。違反の具体的内容については明らかにされていないものの、同局は2020年に行われたイスラエル企業買収時の承認条件にも抵触したと指摘している。

買収承認条件違反を指摘

当局によると、エヌビディアはイスラエル半導体企業の買収を巡り、中国政府が提示した承認条件に違反したとされる。承認条件は競争環境の維持を目的として設けられたもので、違反が確定すれば処分の対象となる。市場関係者の間では、制裁金が科される可能性に注目が集まっている。

米中貿易協議と重なる発表

この発表は、スペイン・マドリードで行われている米中閣僚級貿易協議と時を同じくして行われた。米国は中国向けの半導体輸出規制を強化しており、中国は今回の発表を通じて対抗姿勢を明確にしたとみられる。タイミングの異例さから、外交的メッセージの意味合いが強いと受け止められている。

米財務長官が懸念を表明

協議後、米財務長官 ベセント は「調査の公表は時期を逸している」と記者団に述べ、不満を示した。米中間では関税問題に加え、半導体を巡る摩擦が拡大しており、今回の事案は交渉の行方に影を落とす可能性がある。米政府内でも、特定企業への圧力が交渉戦術に利用されているとの見方が広がっている。

半導体分野での緊張拡大

エヌビディアはAI需要の拡大を背景に売上・利益を大幅に伸ばしており、世界市場での影響力を強めている。中国政府は7月にも同社に対し、中国市場向け製品の安全性説明を求めていた。今回の違反認定は、半導体分野での米中の攻防が一段と激しくなっている現状を示すものといえる。

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