金利を2.50%に引き下げた決定の背景
カナダ銀行は17日、主要政策金利を0.25%引き下げ、2.50%とした。今年3月以来4会合ぶりの利下げであり、金利水準は2022年以来およそ3年ぶりの低さに戻った。利下げは全会一致で決定され、景気の下支えを優先する姿勢が鮮明となった。
雇用悪化が金融緩和の主因に
ここ数カ月、カナダの労働市場は顕著に弱まり、失業率は9年ぶりの水準に上昇した。第2四半期の実質GDP成長率は年率換算でマイナス1.6%と低迷し、第3四半期の先行きも厳しいと見込まれている。家計消費も労働市場の停滞と人口増加の鈍化で抑制される可能性が高いとされる。
インフレ圧力の低下と貿易不透明感
中核インフレ率は3%前後で推移しているが、基調的には2.5%程度まで落ち着いている。加えて政府が米国製品への報復関税を撤廃したことで、物価上昇圧力は和らいでいる。一方で、米国の高関税政策がカナダ経済に与える影響は依然として大きく、不透明感が景気の重しとなっている。
市場とエコノミストの反応
エコノミスト調査では、0.25%の利下げは広く予想されていた。TDセキュリティーズのアナリストは、最終的な政策金利の到達点は2.25%になるとの見方を示した。金融市場も次回10月の会合で追加利下げが行われる可能性を約48%と織り込んでいる。
追加緩和の可能性と今後の注目点
マックレム総裁は「経済のリスクが高まれば行動する」と述べ、追加緩和の用意を示した。声明では「リスクがさらに傾けば一段の措置を取る」とも言及し、慎重な姿勢を維持している。次回会合は10月29日に予定され、今後の政策判断が景気動向を大きく左右する局面に入った。