中国が発表した8月の輸出動向
2025年8月、中国からのレアアース磁石輸出量は6145トンとなり、前月比10.2%増、前年同月比15.4%増と大きく伸びた。輸出は3カ月連続で増加しており、7カ月ぶりの高水準に達したことが明らかになった。
背景にある政策の転換
中国は4月、米国との関税対立に伴い、7種類のレアアースと磁石製品を新たに輸出規制の対象とした。しかしその後、米欧との協議で制限を緩和しており、8月のデータはその効果を示すものとなった。規制変更が直接的に輸出拡大につながったことが数字で確認できる。
米国向け出荷が減少傾向を示す動き
全体の輸出は拡大した一方、米国向けは589トンにとどまり、前月比4.7%減、前年同月比11.9%減と低迷した。これは中国が防衛関連産業への供給規制を維持していることが背景にあるとされ、地政学的な要因が強く影響している。
日本市場が大幅に増加
日本への輸出は255トンと前年同月比で40.1%増となり、対照的に拡大した。アジア市場では需要が底堅く、中国の規制緩和の恩恵を直接的に受けた格好だ。輸出先の構成比の変化は、今後の供給戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
世界経済における位置づけ
レアアースは次世代産業の基盤資源であり、輸出国としての中国の政策変更は国際市場全体に直結する。今回のデータは、中国が全体的には輸出拡大へ舵を切りつつも、戦略的に米国向けを制限している実態を示している。