国連会合で李強首相が立場を表明
李強首相は9月23日、ニューヨークで行われた国連会合で演説し、WTOの交渉において新たな優遇措置を求めない方針を示した。中国外務省が24日に公表したもので、経済規模世界2位の中国に対して続いてきた米国の批判に応える姿勢が見られる。
米国からの批判と中国の対応
米国は、巨大経済国である中国が途上国として特別待遇を享受することに強い不満を示してきた。特にトランプ政権は、中国の途上国優遇を「不当な優位」と位置付け、完全放棄を要求してきた。今回の発表は、その圧力に対する譲歩と捉えられる。
中国の「途上国」地位は維持
一方で、中国のWTO代表団は「途上国としての地位は変更しない」と強調した。つまり、中国はグローバルサウスの主要メンバーとしての立場を堅持しながらも、今後のWTO交渉で優遇を利用しないという二重の姿勢を打ち出したことになる。
自由貿易体制を守る立場を国際社会に発信
李首相は演説で「多国間主義と自由貿易を守るべきだ」と述べ、各国に協調を呼びかけた。これは、関税政策を強める米国を牽制すると同時に、新興国や途上国との連帯を示す発信でもある。
国際交渉への影響
今回の決定は、米中貿易協議の進展を狙った戦略的判断とみられる。途上国優遇を放棄する一方で、途上国地位を維持することで、国際社会に柔軟性と責任感の両面をアピールした形だ。今後の米国や他の主要国の反応が注目される。