JICA「ホームタウン構想」撤回 誤情報拡散が影響

滝本 梨帆
经过
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JICAが打ち出した交流計画の目的が判明

国際協力機構(JICA)が進めていた「ホームタウン構想」は、日本の地方自治体とアフリカ諸国を結び、人材交流や相互課題の解決を目指した事業だった。山形県長井市とタンザニア、千葉県木更津市とナイジェリア、新潟県三条市とガーナ、愛媛県今治市とモザンビークが認定を受け、8月にはアフリカ開発会議にあわせて認定証が交付されていた。

SNSでの誤情報拡散と抗議の波が明らかに

ナイジェリア政府が「特別ビザを創設する」と発表したことを契機に、SNSでは「移民受け入れにつながる」との誤解が拡大した。今治市では6000件近い抗議や問い合わせが殺到し、職員が通常業務に支障を来す事態となった。市役所施設には「移民反対」と書かれた落書きまで見つかり、混乱が深刻化した。

政府とJICAの説明が発表された経緯

林芳正官房長官は「ホームタウン構想はあくまで期限付き研修であり、終了後は帰国を前提とする」と説明。JICAも誤解を否定し続けたが、情報の拡散は止まらなかった。田中明彦理事長は25日の会見で「自治体への負担を考慮し、撤回を決断した」と述べ、「混乱に屈したわけではない」と強調した。

自治体の対応と住民の声が浮き彫りに

認定された4市は撤回に理解を示した。木更津市長は「市民に不安を与えたことを重く受け止める」と表明。市民からは「撤回は妥当」との意見と「交流が絶たれるのは残念」との声が交錯した。今治市では担当者が「国際交流を進めるには、市民の理解と納得が不可欠」と述べている。

今後の国際交流の在り方が課題に

今回の撤回は、外国人受け入れ政策をめぐる社会的な不安と、誤情報の影響力を浮き彫りにした。愛媛県とモザンビークの長年の交流など、既存の関係は継続される見込みだが、国際交流の推進には一層の情報発信と丁寧な説明が求められている。

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