日本のLNG戦略におけるJERAの新展開が判明

市原 陽葵
经过
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JERAによる米国シェールガス権益取得の背景と意義

発電事業を手がける国内最大手、JERA は10月23日、米ルイジアナ州ヘインズビル地区に所在するシェールガス開発・生産事業の権益を約15億米ドル(約2,300億円)で取得すると発表した。今回の取得により、同社は年間LNG換算で約350万トンの生産能力を持つ鉱区に参画することになる。将来的には2030年までに700万トン規模への拡大を目指しており、これは日本のエネルギー戦略上、重要な一手となる。

米国シェールガス事業の詳細と参画企業構成

取得対象となる鉱区は約210平方キロメートルを有し、既に約200本の生産井が稼働中である。現在1日あたり約5億立方フィート規模の生産を行っており、今後は約10億立方フィートまでの拡張を見込んでいる。JERAはこの鉱区の権益とともに、隣接するサウス・マンスフィールド地区の株式を100%取得する契約も締結しており、両資産を通じて合計100%の事業支配を確保する。

日本向けLNG供給強化の可能性と影響

JERAはこの米国シェールガス参画を「LNGバリューチェーンの強化に寄与し、米国におけるパートナーシップの強化にも資する」と位置づけている。日本側は日米の貿易・関税交渉の中で米国エネルギー資源の購入拡大を合意しており、今回の取得はその文脈とも整合している。JERA側は「日本向け輸出の可能性があり、検討していく」と述べており、国内LNG調達構造の変化を示している。

今後の課題と注意点

シェールガス開発は生産拡大とともにコスト・環境規制・気候変動対応などが焦点となる。JERAが米国での開発に初めて参画するという点では、技術的・運営的な学びとリスク管理が重要となる。また、日本向け輸出が具体化するには液化設備、輸送インフラ、長期契約など多くの整備が必要である。

エネルギー安定供給と国際戦略の融合

JERAの米シェールガス参画は、単なる資源取得にとどまらず、日本のLNG供給源を多様化し、米国とのエネルギー関係を深化させる戦略的な動きである。2030年の生産能力倍増という目標設定を掲げており、今後の国内外展開が注目される。

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