フェンタニル問題巡り米メキシコ関係に一時緩和の兆し

嶋田 拓磨
经过
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米国の関税引き上げを再延期、外交的譲歩に

トランプ米大統領は、メキシコ製品への30%追加関税の発動を再び延期することを決定した。メキシコのシェインバウム大統領が27日に発表したもので、発動日は当初の11月1日から「数週間後」に先送りされる。これにより、両国の経済摩擦は一時的に緩和される見通しとなった。

両国首脳が電話会談で合意内容を確認

この決定は、25日に行われた約40分間の電話会談で合意された。メキシコ側からはシェインバウム大統領のほか、マルセロ・エブラル経済相やデ・ラ・フエンテ外相らが参加。米国側は、非関税障壁や労働問題を中心に協議の進展を評価したという。

米国が懸念する非関税措置の協議が進展

協議の中心には、USMCAの下での非関税措置や知的財産権問題がある。特に医薬品の特許審査の遅れや労働基準の遵守が議題として挙げられており、双方はUSTRを通じて調整を続けている。メキシコ政府は「対話を継続することで新たな関税引き上げは回避できた」と強調した。

北米経済協定の枠組み維持を最優先

シェインバウム大統領は「USMCA原産品は関税対象外となる」とし、北米経済連携の維持を最重要課題に掲げた。さらに「新たな世界貿易秩序の中でメキシコは依然有利な立場にある」と述べ、対外投資への信頼回復を狙う。これにより、メキシコ経済の安定性を内外にアピールした形だ。

今後の課題はUSMCA見直しと貿易均衡

エブラル経済相は、今回の関税交渉を「USMCA改定への前段階」と位置づけ、2026年1月に予定される見直しまでに実務的課題を整理すると述べた。今後は、鉄鋼やアルミ、トマトなど一部品目をめぐる関税問題が焦点となり、両国の通商関係は引き続き注目を集める見通しだ。

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