エヌビディアがノキアに10億ドル出資、AI通信網を強化

滝本 梨帆
经过
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AI時代の通信基盤強化に向けた大型提携

米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)が、フィンランドの通信機器メーカーノキア(Nokia)に10億ドルを投資し、AIネットワークの共同開発に乗り出すことが明らかになった。AI分野の電力・通信需要が急速に拡大する中、両社は次世代通信インフラの基盤を共に構築する戦略的提携を発表した。

エヌビディアがノキア株2.9%を取得

この取引により、エヌビディアは1株6.01ドルで1億6,638万9,351株の新株を引き受け、2.9%の株式を保有することになる。新株発行は11月に完了する見通しで、ナスダック・ヘルシンキやユーロネクスト・パリ、さらにニューヨーク証券取引所でも取引が開始される予定だ。発表を受けてノキア株は17%急騰し、市場では「AI通信時代を象徴する提携」として注目を集めている。

データセンターとAI-RANの連携を推進

両社はAIを活用したRAN(無線アクセスネットワーク)の開発において協業し、エヌビディアのAIチップアーキテクチャにノキアのデータセンタースイッチング技術や光通信技術を統合する計画だ。これにより、AIデータ処理の効率化と通信遅延の低減が期待される。AI需要の急増に対応するインフラ整備は、通信と半導体の融合領域として今後の成長が見込まれている。

ノキアの戦略、「AIスーパーサイクル」への布石

ノキアは今回の出資によって得た資金を、「AIスーパーサイクル」と呼ぶ長期戦略に投入する。これはAI時代の信頼性の高い接続性を実現するための事業基盤強化を目的としており、5Gおよび6G対応ソフトウェアの開発やAIクラウドネットワークへの展開を加速させる狙いがある。経営陣は「エヌビディアとの連携により、AI通信技術の競争で優位に立つ」と述べた。

通信と半導体の融合が生む新市場

今回の提携は、半導体企業が通信分野へ本格進出する動きの一例として位置づけられる。AI処理を支えるネットワーク基盤の需要が増す中、エヌビディアはハードウェアからソフトウェアまで包括的なソリューション提供を目指す。一方ノキアにとっても、AI時代に対応するための技術転換が急務となっており、両社の協力は業界の構図を変える可能性がある。

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