核弾頭搭載可能な原子力魚雷「ポセイドン」を実験
ロシアのプーチン大統領は10月29日、核弾頭を搭載可能な新型原子力魚雷「ポセイドン」の稼働実験が28日に成功したと発表した。原子力を動力源とするこの無人兵器は、航続距離が「ほぼ無制限」とされ、既存の防衛システムでは迎撃が不可能だと説明した。プーチン氏は「速度や深度において世界に例がない」と述べ、軍事技術の優位性を誇示した。
原子炉は潜水艦の100分の1規模でも強力
プーチン氏によると、「ポセイドン」に搭載された原子炉は通常の原子力潜水艦の100分の1の大きさにすぎないが、その威力は最新型ICBM「サルマト」を上回るとされる。小型化と高出力を両立させたこの兵器は、長距離かつ高深度での攻撃能力を備えると説明されている。専門家の間では、既存の防衛網を無効化する新たな戦略兵器として注目されている。
巡航ミサイル「ブレベスニク」も成功裏に実験
ロシアは同時期に**原子力推進巡航ミサイル「ブレベスニク」**の実験にも成功した。10月21日に実施された発射試験では、飛翔距離1万4000キロ、滞空時間約15時間を記録したとされる。プーチン氏はこの兵器を「世界に類を見ない独自技術」と評し、実戦配備に向けた準備を進める意向を示した。NATOではこの兵器を「SSC-X-9スカイフォール」と呼称しており、米国のミサイル防衛網を突破する可能性が指摘されている。
米国とNATOへの示威的発表
ロシア政府は、これら新型兵器の相次ぐ成功を発表することで、ウクライナ支援を続ける米欧諸国に対して強い牽制を行った形となる。トランプ米大統領がモスクワに停戦圧力をかける中、プーチン政権は「西側の圧力には屈しない」との姿勢を鮮明にしている。先週には戦略核演習も行われており、一連の動きは軍事的威嚇を伴う政治的メッセージとみられる。
軍事バランスへの影響と懸念
ロシアが推進する原子力兵器の開発は、既存の核抑止バランスに変化をもたらす可能性がある。特に「ポセイドン」や「ブレベスニク」のような迎撃困難な兵器は、軍拡競争を一段と激化させる懸念を生んでいる。米欧は今後、ミサイル防衛戦略の見直しを迫られることが予想される。