韓国・慶州で21カ国が集結し議論を展開
韓国南東部の慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議が30日、2日間の日程を終えた。日米中を含む21の国と地域の代表が出席し、自由貿易体制の維持と経済協調の重要性を改めて確認した。
今回の会議は、トランプ米政権による高関税政策の影響が世界経済に広がる中で開かれ、各国が保護主義の高まりにどう対応するかが焦点となった。
日本はAIや少子高齢化など共通課題で主導
日本からは茂木敏充外相と赤沢亮正経済産業相が出席し、AIの適正活用や少子高齢化への対応といった共通課題について各国と意見を交わした。政府関係者は「地域全体でデジタル革新の基盤を整える必要がある」と述べ、経済成長と社会的安定を両立する枠組みを訴えた。
また、日本はアジア太平洋地域における持続的成長への貢献姿勢を強調し、食料安全保障や供給網の強化に関しても具体的な協力を模索した。
自由貿易を巡る調整が難航、声明採択は見送り
一方で、自由貿易の範囲やAI管理の在り方を巡って加盟国間で意見が対立。特に、米国の関税政策を背景にした経済運営の考え方に違いがあり、閣僚声明の採択は見送られた。
各国は事務レベルで引き続き調整を行うことを決定し、首脳会議での最終合意を目指す方針を共有した。
トランプ政権の通商政策が議論の焦点に
トランプ大統領が進める対中関税の引き下げ方針や、レアアース規制の延期などの措置も話題となった。こうした政策は地域経済の安定化に一定の影響を与えるとされ、各国はその是非を慎重に分析している。
会議では、「開かれた貿易体制が世界経済を支える柱だ」との認識が改めて共有された。
首脳会議での合意形成に期待高まる
翌31日には、高市早苗首相が参加する首脳会議が2日間の日程で開幕する。各国首脳が貿易、AI、気候変動など幅広いテーマを議論し、実効的な国際協調の道筋を示せるかが注目される。
閣僚レベルの協議を経て、首脳らは自由貿易の再確認と地域経済の安定を訴える見通しだ。