対話再開に向けた兆候が浮上
韓国の国家情報院(国情院)は4日、北朝鮮が米国との対話再開に向けた準備を進めているとの分析を国会に報告した。国情院によると、金正恩朝鮮労働党総書記は「条件が整えば米国と接触する意志を示している」との判断を示し、来年3月以降の情勢変化を見込んでいる。非公開で行われた国政監査の席上で報告され、出席した議員が記者団に明らかにした。
金正恩氏、発言のトーンを抑制
国情院は、金氏が9月の最高人民会議で条件付き対話に言及して以降、核開発をめぐる直接的な発言を控えている点に注目している。こうした変化を踏まえ、北朝鮮が慎重に対話のタイミングや条件を探っていると分析。米韓両国の動向を注視しつつ、軍事演習の結果などを見極める構えを見せている。
トランプ大統領の呼びかけに沈黙
一方、トランプ米大統領は10月末の訪韓時、金氏に直接会談を提案したが、北朝鮮側は反応を示さず、会談は実現しなかった。国情院は、北朝鮮が公式な回答を避けたのは、外交カードとして対話の主導権を握る意図があるためとみている。これまでの経緯からも、北朝鮮は交渉条件の設定に極めて慎重な姿勢を崩していない。
外交再編の一環としての動き
国情院はまた、崔善姫外相の中国・ロシア訪問を含む一連の外交活動についても報告した。これらの行動は、米国との接触を見据えた事前調整の側面を持つとされる。北朝鮮は複数のルートを通じて国際的な立場を再構築し、制裁緩和や安全保障上の保証を得るための布石を打っているとみられる。
米韓合同演習後の展開に注目
国情院は、来年3月に予定される米韓合同軍事演習の終了後に情勢が動く可能性を指摘。演習が緊張を高める一方で、北朝鮮が「対話の窓口」を再び開く条件となる可能性もある。米朝関係は一時の硬直状態を抜け出す兆しを見せており、両国が再び直接対話のテーブルにつくかどうかが今後の焦点となる。