違法商品の販売で政府が緊急対応
フランス当局は、中国系ファストファッション大手「SHEIN(シーイン)」の通販サイトで違法商品が販売されていたとして、サイトの一時停止手続きに入った。ルコルニュ首相とヌニェス内相は、同社がフランスの法規に反する行為を繰り返していると非難し、司法当局に正式な調査を依頼した。政府は同時に欧州委員会にも対応を求め、域内での包括的な規制強化を呼びかけている。
検察が児童ポルノ容疑で捜査開始
事の発端は、パリ検察がシーインの販売する少女型ラブドールを児童ポルノに該当する可能性があるとして捜査を開始したことにある。フランスでは児童ポルノに関する規制が厳しく、関連商品や画像の流通は刑事罰の対象となる。政府は「子どもを危険にさらす販売行為は容認できない」と強調し、迅速な是正措置を要求した。
武器販売の実態も発覚
一方で、シーインのサイト上では「ゾンビナイフ」や「メリケンサック」などの武器類も販売されていたことが明らかになった。これらはフランス国内では特別許可が必要な「カテゴリーA」に分類される品目で、販売・所持が禁じられている。レスキュール経済・財務相は7日までに販売を停止しない場合、サイト閉鎖を命じる方針を示している。
欧州で広がる規制強化の動き
欧州連合では、違法商品の拡散を防止するため「デジタルサービス法(DSA)」を施行しており、シーインはその監視対象となっている。フランスの措置は、今後他の加盟国にも影響を与える可能性がある。欧州ではすでに環境負荷や労働環境を巡る批判が高まり、シーイン法案などの国内規制も進んでいる。
開店ラッシュの裏で広がる波紋
問題発覚の同日、シーインはパリ中心部の老舗百貨店に常設店舗を開設した。低価格を求める若年層でにぎわう一方、環境団体や業界関係者が抗議活動を展開。フランス国内の中堅アパレル企業が相次いで経営危機に陥る中、政府関係者からは「羊の群れにオオカミを迎えるようなもの」との強い警戒感が示されている。