マンション群で発生した火災状況が判明
香港北部の大埔区で11月26日午後、複数の高層住宅が炎上する火災が発生し、27日深夜までに死者が75人に達した。当局の発表では70人以上が負傷し、建物内には50人以上が取り残されている可能性が示された。火災は30階を超える8棟が集まる住宅群の一角で発生し、7棟に被害が及んだ。消防当局は700人以上の部隊を投入し、消火と捜索を並行して実施した。現場周辺に立ち上る黒煙は広範囲で確認され、建物内部の高温が救助作業を妨げた。
住民構成と避難状況に関する情報が拡大
1983年に完成した住宅群には約2000戸が入居し、4000人以上が生活していた。地元メディアは新築当初から住む高齢者が多く、逃げ遅れにつながったと報じている。火災報知器が作動しなかったとの証言も寄せられ、エレベーターが停止したことで階段での避難を強いられた住民も多かった。深夜まで避難所への移動が続き、行方不明者の報告も途切れなかった。周辺道路は封鎖され、バス路線の大半が経路変更を余儀なくされた。
外壁工事と使用資材の問題点が判明
火災が起きた建物では昨年から大規模修繕が行われ、外壁一帯に竹製の足場が設置されていた。警察は足場にかけられたシートや防護ネットの燃焼が激しかった点に注目し、可燃性の高い発泡スチロールが窓部分に使用されていた事実を確認した。これらの資材が炎の拡大を促した可能性が高く、関係者への事情聴取が進められている。香港では竹製足場が長く使用されてきたが、近年は安全措置として金属製への移行方針が示されていた。
修繕会社関係者への捜査と拘束が発表
警察当局は27日、修繕工事を請け負っていた会社の幹部3人を過失致死の疑いで拘束し、工事の施工方法や資材選定の経緯を調べている。10月には建設業者に対し、燃えにくい資材の使用を確認するよう当局が通達していたが、今回の施工がその基準を満たしていなかった疑いがある。警察は足場構造、外壁の処理、資材の保管状況など、広範囲な調査を実施している。
地域社会への影響と今後の対応が注目
火災は複数棟に及んだため、住民への影響は長期化する可能性がある。避難所では家族の安否を求める声が相次ぎ、現場周辺には大規模な立入制限区域が設定された。交通規制により地域の移動手段が制限され、生活への影響が広がっている。建物の老朽化と修繕時の安全管理が問われる事態となり、当局は安全基準の見直しを急ぐとみられる。香港政府は犠牲者への弔意を示し、火災による影響の最小化に向けて対応を続けている。