中国が条約批判を再度表明した動き
中国政府は12月2日、在日本中国大使館のX投稿を通じ、サンフランシスコ平和条約を「不法かつ無効」と位置付ける考えを示した。この見解は従来の主張と一致しており、台湾問題を含む国際秩序に対する中国の立場を反映している。特に日本の政治発言を受けた形で表明された点が注目され、外交的応酬が続いている。
首相答弁を巡る中国側の反応が顕在化
発端となったのは、高市早苗首相が党首討論で示した台湾に関する説明である。首相は、日本が1952年発効の同条約で台湾についての権利を放棄したとして、「台湾の法的地位を判断しない」という政府見解を再確認した。この説明は既存方針に沿ったものだが、中国外務省は翌27日の会見で反対を表明し、首相答弁に対し強い語調で批判した。
中国の主張にある歴史的背景が影響
中国外務省は今回の投稿でも、条約締結の過程で中国やソ連が排除されたと指摘し、主要戦勝国が参加しない条約は認められないとの立場を繰り返した。中国は長年、台湾問題をサンフランシスコ条約に基づいて論じることに反発しており、国際的な議論の前提自体に疑義を呈してきた。こうした経緯が現在の強硬姿勢を支えている。
日本の政策方針との相違が鮮明に
日本政府は同条約を戦後処理の基礎として重視し、台湾の帰属を明記しない点を理由に、台湾の法的扱いについて中立的な立場を保ってきた。さらに1972年の日中共同声明では、中国の主張を「理解し尊重する」とする一方、日本として承認はしていない。この二重構造は外交上の重要な枠組みとなっており、中国の見解とは明確な隔たりが存在している。
東アジア情勢への影響が広がる可能性
今回の発信により、サンフランシスコ条約と台湾問題を巡る日中間の対立が再び表面化した。双方の発信が続く状況は、今後の地域情勢や外交交渉に影響を与える可能性があり、各国の動向も注視されている。台湾情勢をめぐり緊張が高まる中、日中両国がどのように対応するかが大きな焦点となる。