大阪万博で支出増が続き地域効果の偏在が浮き彫りに

浅川 涼花
经过
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経済波及額の上振れ傾向が示される

民間シンクタンクの分析により、大阪・関西万博による経済波及額が 3兆541億円 を記録したことが発表された。これは開幕前の基準見通しを大幅に超えるもので、後半期間の消費増が全体を押し上げた。
訪れた 約2900万人 の来場者が飲食や宿泊、土産購入を通じて支出を拡大し、地域経済に直接的な影響を及ぼした。

日本人と外国人の支出動向が鮮明に

支出構造をみると、日本人の波及効果が 9963億円、外国人の波及効果が 6475億円 と推計された。双方の支出が後半に伸びたことで、当初予測を上回る結果となった。
ただし6割以上が近畿圏在住者であり、地元中心の来訪構造は変わらず、支出が地域内で完結する傾向が強かった。

キャラクター需要の急伸が支出に反映

公式キャラクター 「ミャクミャク」 の関連商品は、会期後半に大きく売上を伸ばした。大阪市内の大型店舗では売り場を拡大し、閉幕後の需要を見込んだ販売体制が続いている。
公式グッズの販売期間が 2026年3月末 まで延長されたことで、万博終了後も消費行動が継続している点が特徴として挙げられる。

地域別の効果分布に偏りが発生

地域別にみると、大阪府の消費額が 7697億円 と際立つ一方、京都府は 1892億円、兵庫県は 996億円 にとどまった。調査機関は、広域観光が期待されたほど拡大せず、効果が大阪に集中した点を課題として指摘した。
来場者の行動範囲が限定されたことが、地域間の格差を生んだ要因となった。

観光連携強化の必要性が浮上

当初想定していた「拡張型」の経済効果は 3兆3667億円 を見込んでいたが、そこには届かなかった。研究者は、交通面や情報発信の課題を改善しなければ、周辺地域への効果波及は進まないと分析している。
閉幕後もグッズ販売などが一定の需要を維持する中、地域全体での観光強化が次の重要課題として浮かび上がっている。

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