EUがXに制裁金 認証制度変更が規則違反と判断

市原 陽葵
经过
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認証制度を巡るEUの判断

EU欧州委員会は12月5日、SNS「X」が運用していた青色認証マークの仕組みがデジタルサービス法(DSA)に反したとし、1億2,000万ユーロの制裁金を科したと発表した。DSAは偽情報の拡散防止を義務づける規則であり、制度変更によってアカウントの信頼性が不当に示される状況が生じたと判断した。認証マークが有料会員に付与される仕組みとなったことが、正確な情報提供を担保するという従来の役割と整合しなくなったと指摘した。

DSA施行後で初の制裁金

今回の決定は、EUがDSAを施行してから初めて制裁金を発表した事例となる。欧州委は、利用者保護の観点から規則違反に対し厳格な姿勢を示す必要があるとしており、大手プラットフォームの運営方法を監視する姿勢を鮮明にした。制度変更後、著名人の名をかたる投稿が広がり、利用者が情報の真偽を判断しにくくなる状況が確認されたと説明した。

成り済まし被害への懸念

青色認証マークは旧ツイッター時代、本人確認済みアカウントを示す機能を備えていた。しかし、「X」では条件を満たせば誰でも取得可能となり、詐称行為の手段として悪用される事例が複数報告されていた。欧州委は、こうした状況が利用者の誤認を招き、偽情報の拡散を助長したと判断した。研究者に対する投稿データの提供不足も問題の一つとして取り上げられた。

欧米間の反応の差

EUの判断に対し、米国側からは規制姿勢への疑問が示されている。米政権関係者は、欧州委が表現の自由を制限し、米企業に対して不当な負担を課していると主張した。SNS企業に対する規制強化を巡り、欧米のアプローチの違いが改めて浮き彫りとなった。

対応方針の行方に関心集まる

欧州委は、プラットフォーム運営企業に対し、透明性の確保と利用者保護の強化を求める方針を明確にしている。X側が制裁金への対応や認証制度の改善策をどのように示すかが、今後の焦点となる。デジタル空間における信頼性確保を巡り、各国の議論が一段と高まることが見込まれる。

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