欧州中銀、金利据え置き継続で政策姿勢を維持

小野寺 佳乃
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政策決定の背景と理事会判断

欧州中央銀行(ECB)は12月18日に開いた理事会で、主要政策金利を現行水準に維持することを決定した。金利据え置きは7月以降4会合連続となり、市場の事前予測とも一致した。金融機関から資金を預かる際の金利は2%に据え置かれ、金融環境の安定を優先する姿勢が示された。
今回の判断は、インフレ率が目標水準に近づいている点を重視した結果とされる。

インフレ動向と物価見通し

ユーロ圏の消費者物価指数は直近で前年同月比2.1%上昇となった。ECBは声明で、物価上昇率が中期的に2%前後で推移するとの見通しが再確認されたと説明している。
最新のスタッフ予測では、2026年のインフレ率見通しが引き上げられ、物価安定に向けた進展が続いていることが示された。

成長率予測の修正内容

経済成長率については、内需の持ち直しを背景に見通しが上方修正された。来年の成長率は1.2%とされ、9月時点の予測から引き上げられている。
家計所得の改善や企業投資の動きが経済活動を下支えしている点が評価された。

世界的な景気動向に広がる不安定要因

一方で、ECBは世界経済を巡る不透明感にも言及した。米国の関税政策などにより、国際貿易環境が厳しさを増していると指摘した。
これらの要因は、ユーロ圏経済の成長を抑制する可能性があるとされている。

将来の政策運営に対する中銀の姿勢

ラガルド総裁は記者会見で、将来の金利変更について決まった時期や方向性はないと強調した。今後は公表される経済指標を踏まえ、会合ごとに判断する方針が維持される。
ECBは特定の金利経路を事前に示さず、柔軟な政策運営を続ける考えを明確にしている。

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