官邸会談で示された協力の方向性
2025年12月18日、高市早苗首相は首相官邸でカザフスタンのトカエフ大統領と会談した。両首脳は、法の支配を重視する国際秩序の維持を共通の価値とし、戦略的な協力関係を推進する考えで一致した。高市首相は、両国関係をさらに発展させるため、実務レベルでの連携を強化する必要性を強調した。トカエフ大統領も、日本との信頼関係を基盤に、中央アジア全体を視野に入れた協力を深めたいと応じた。
重要鉱物分野での連携確認
会談では、資源分野が重要なテーマとして取り上げられた。カザフスタンは、ウランやレアメタルなど国際的に需要の高い鉱物資源を豊富に有している。日本側は、重要鉱物の安定供給に向けた協力を進める意向を示し、政府開発援助を含む支援策を活用する考えを示した。両国は、資源協力を通じて相互の経済基盤を強化することで一致した。
中央アジア横断物流への支援
輸送・物流分野でも具体的な協力が確認された。日本政府は、中央アジアとヨーロッパを結ぶ輸送路の整備を重視し、ロシアを経由しないルートへの支援を表明した。特に、カスピ海を経由する物流ルートの円滑化に向け、港湾税関への大型X線機材を供与する決定を伝えた。これにより、物流の安全性と効率性の向上が期待されている。
直行便就航と人的交流の拡大
両首脳は、日本とカザフスタンを結ぶ直行便の就航計画について歓迎の意を示した。直行便は来年にも運航が予定されており、航空協定締結に向けた協議を開始することも確認された。これにより、ビジネスや観光を含む人的交流の拡大が見込まれている。航空分野の進展は、経済協力を実体化させる重要な要素と位置づけられている。
初の首脳会合につながる意義
トカエフ大統領は、今回の訪日が大統領として初めてであることに触れ、日本と中央アジア諸国との関係深化への期待を示した。高市首相は、12月20日にカザフスタンを含む中央アジア5か国の首脳と初の会合を行う予定で、今回の会談はその流れを後押しする位置づけとなる。両首脳は、地域の安定と国際秩序の維持に向け、引き続き協調していく方針を確認した。