中東情勢の影響で新築マンション引き渡しに遅れ懸念、大手各社が契約者へ通知

河本 尚真
经过

資材調達リスクが住宅販売分野にも広く波及

中東情勢の変化を受け、新築マンションの引き渡し時期に影響が出る可能性を契約者へ知らせる動きが大手不動産会社の間で広がっている。現時点で各社は、直ちに引き渡しが遅れた事例は確認していないとしている。ただ、住宅建設では多くの資材や設備が使われており、今後の供給状況によって販売済み物件の入居予定にも影響が及ぶ可能性がある。

住宅分野では、壁紙、床材、タイル、接着剤、塗料など、石油由来の製品が幅広く使用されている。原油やナフサの供給不安が続けば、こうした資材の調達や価格に影響が出る。各社は購入者の不安を踏まえ、予定変更が起きる前の段階で情報提供を進めている。

大手不動産各社が契約者へ事前通知を開始

三菱地所レジデンスは4月中旬以降、三井不動産レジデンシャルは4月末以降、新築マンションの契約者に対し、引き渡し時期が変わる可能性を文書などで伝えている。通知では、今後の中東情勢によって資材や設備の確保に影響が出る場合があることを説明している。

三井不動産レジデンシャルは、2027年8月下旬から順次入居予定の「ザ 豊海タワー マリン&スカイ」について、契約者に予定変更の可能性を知らせた。同時点では延期は発生していない。三井不動産は、具体的な物件数を明らかにしていないが、ほかの物件でも同様の連絡を行っている。

石油由来の建築資材に供給懸念が浮上

住宅の建設には、石油化学由来の原料を使った製品が数多く用いられている。塗料や断熱材、ユニットバスなどについても、安定供給への懸念が出ている。原油やナフサの確保が滞れば、工事に必要な資材が計画通りに現場へ届かない事態を招く恐れがある。

各社は、足元の資材や設備の確保に大きな問題はないとしている。一方で、今後の情勢次第では、予定した建材と異なる製品を使う場合があることも契約者に伝えている。引き渡し時期だけでなく、設備仕様の変更も説明対象となっている点が今回の特徴である。

建設現場では出荷制限や価格上昇も拡大

建設業界では、資材の出荷停止や供給制限、価格上昇への警戒が強まっている。首都圏、京都、福岡などの建設関係者で構成する団体は5月8日、経済産業省、財務省、厚生労働省を訪れ、現場の状況を訴えた。団体はアンケート結果を示し、資金繰り支援などを求めた。

会見では、防水シートが現場から盗まれ転売された事例にも言及された。政府がナフサ関連の化学製品供給について一定の見通しを示している一方、現場側は実態との隔たりを主張している。4月には全国建設業協会も、工事の中止や遅延が避けられない状況が出ているとして、需給改善を要請していた。

入居予定への不安に先手対応が広がる

東急不動産ホールディングスや東京建物も、契約者に対して引き渡し時期が遅れる可能性を通知している。住友不動産と野村不動産は、すぐに引き渡しを迎える新築物件がないとし、延期が見込まれる物件が出た場合には速やかに知らせる方針を示している。

大手各社の対応は、実際の遅延が起きた後の説明ではなく、契約者の入居計画に関わる不確実性を早期に共有するものだ。新築マンションの購入者にとって、引っ越し時期や住宅ローン、現在の住居契約との調整は重要な問題となる。資材供給を巡る不安が続くなか、住宅販売の現場では契約者への情報提供が重視されている。

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