AI活用へ規制改革を加速、次世代データセンター整備と歩行型ロボット実証を支える制度見直しが本格化へ大きく進む方針

市原 陽葵
经过

成長戦略に規制改革を取り込む政府方針示す

政府の規制改革推進会議は6月29日、高市早苗首相に答申を提出した。答申では、供給力の底上げに向け、AIをはじめとする先端技術の導入を妨げる制度上の課題を見直すよう求めた。高市首相は会議で、規制制度改革を日本成長戦略に取り込み、民間投資を最大限引き出す考えを示した。

答申は「強い経済の実現」と「地方を伸ばし、暮らしを守る」を柱に掲げた。対象は全55項目に及び、AI、デジタル、GXなど政府が重視する17分野に沿って改革案を整理した。政府はこの内容を踏まえ、7月にも規制改革実施計画を閣議決定する見通しだ。

データセンター立地制約の緩和策を提起へ進む

大きな焦点となったのは、AIの稼働に不可欠な次世代データセンターの整備である。AI向け施設では高い電力需要に対応するため、大容量のリチウムイオン蓄電池を設置する必要がある。一方で、現行の建築基準法や消防法では、危険物に関する数量規制や立地上の制約が課題となっている。

答申は、安全性を確保できる場合には規制の適用外と明記することを提起した。これにより、国内でのデータセンター建設を促し、AI関連投資を呼び込む狙いがある。技術の進展に制度が追い付いていないとの認識を踏まえ、施設整備を支える法制度の整備が求められた。

歩行型ロボット実証環境の整備を要請する動き

答申では、AIでロボットを自律的に動かす「フィジカルAI」の社会実装も重要項目に位置付けられた。特に二足歩行型ロボットについては、道路交通法や道路運送車両法上の扱いが明確でないことが、歩道での実証実験を進める際の障壁になっている。現行制度では、歩行者と同じ空間で実験を行う際の基準が十分に整っていない。

このため答申は、歩行型ロボットの法制度上の位置付けを明示するよう求めた。歩道で歩行者とともに実証実験ができるよう、道路使用許可の審査基準を定めることも促した。ロボット技術の普及に向け、実証段階から制度面の予見可能性を高める内容となっている。

農業や医療分野にも制度見直しが広がる動き

農業分野では、担い手不足を背景にスマート農業の導入を進めるための改革が盛り込まれた。生産者の農地が同じ場所にどれだけまとまっているかを示す「集約率」の算定方法を定めることが提起された。農地の集約を進めることで、ロボット農機やドローンを活用しやすい環境を整える狙いがある。

医療分野では、技術向上やデータ活用を進めるため、厚生労働省に制度の見直しを求めた。電子カルテ情報共有サービスの閲覧対象者の拡大や、本人同意を必要としない医療データの二次利用範囲について議論を促した。医療情報の活用を広げることで、制度面から技術開発を支える方向が示された。

投資拡大へ実行速度が焦点となる局面に入る

高市首相は答申を受け、内閣官房に「AIデジタル改革推進チーム」を設ける方針を表明した。府省庁をまたぐ課題について統合的に調整し、規制改革を加速させる体制を整える。首相は会議で、改革をスピード感を持って実行に移すと強調した。

答申には、自動運転車や労働制度、外国人の在留資格に関する見直しも盛り込まれた。安全基準を満たした「レベル2++」の車両を優良とみなす制度や、変形労働時間制の柔軟化、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の業務範囲明確化が挙げられている。AI利用を促す規制改革は、民間投資の拡大と社会実装の速度を左右する段階に入った。

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