新聞記事を生成AIに安全活用、ソフトバンク新基盤が著作権保護と情報提供者への対価還元を推進

市原 陽葵
经过

AIによる記事利用の新ルール整備へ

ソフトバンクは7月22日、新聞社や出版社が保有する記事を生成AI分野で適正に利用するため、新たな情報流通基盤「Garan(ガラン)AI」の試行を開始した。コンテンツを制作した企業から正式に情報を受け取り、生成AI向けに処理してAI事業者へ提供する。記事の権利を守りながら、AI開発に必要な質の高いデータを供給する仕組みである。

生成AIによる情報利用が広がる一方、記事が許可なく取り込まれる事例や、著作物の扱いをめぐる問題が社会的な課題となっている。情報がどこから取得されたのかが分からないまま使われれば、コンテンツを作成した側が利用状況を把握することも難しい。Garan AIは、提供元と利用者の関係を明確にした流通経路を設ける。

ソフトバンクは同日、試作段階のサービスを公開した。AIサービスを提供する企業から利用申請を募り、実際の運用を通じて機能や効果を確認する。約半年間の検証と改良を経て、2027年1月以降に正式版を実用化する方針である。

原文の復元を防ぐ処理で権利を保護

新聞社などのコンテンツ提供者は、記事情報をソフトバンクが管理するGaran AIへ預ける。受け取った情報は、元の記事をそのまま再現することが困難になるよう加工される。文章を単純に複製してAI事業者へ渡す方式ではなく、著作物としての保護を考慮した処理が施される。

その後、データは生成AIが検索や回答作成に用いやすい形へ変換される。AI事業者は加工済みの情報を購入し、自社のサービスへ取り入れる。利用者から質問を受けた際に、報道機関が提供した情報を回答の参考資料として活用できるようになる。

この方法により、報道側は記事がどのような仕組みを通じてAI分野へ提供されるのかを把握できる。AI事業者側も、権利関係が整理されたデータを利用できる。コンテンツを保護する処理とAI向けの利便性を組み合わせ、情報の適正な利用を進める構成となっている。

使用された記事情報の対価を提供側へ

Garan AIには、利用された情報の対価をコンテンツ提供者へ還元する仕組みが設けられる。新聞社や出版社は、取材、執筆、編集、確認などの工程を経て記事を制作している。AIサービスがその情報を活用した場合、制作した企業へ収益が渡る流れを整える。

生成AIの普及に伴い、記事情報は回答の根拠や補足資料として利用される機会が増えている。しかし、無断で収集された場合には、制作側が利用に応じた利益を得られない。新基盤は、コンテンツの価値を認めたうえで、AI事業者が正式な手続きを通じて利用する市場を形成する。

AI事業者は情報の使用権を得る一方、報道機関は記事を新たな用途へ展開できる。従来の紙面やウェブサイトでの配信に加え、生成AIサービスへのデータ提供が新しい活用先となる。対価の支払いを含む制度を導入することで、AI開発とコンテンツ制作の双方を支える構造を目指す。

全国紙から地方紙まで参加が拡大

新基盤への記事提供には、産経新聞社、毎日新聞社、共同通信社、スポーツニッポン新聞社などが名乗りを上げた。信濃毎日新聞社やデーリー東北新聞社など、地域を拠点とする新聞社も参加を表明している。ソフトバンクによると、申し込みを行った報道機関は30社を超える。

全国紙や通信社は、国内外の政治、経済、社会に関する幅広い記事を保有している。地方紙は、地域行政、産業、災害、文化など、それぞれの地域に根差した情報を蓄積している。異なる特徴を持つ媒体が加わることで、AI事業者へ提供できる情報の種類も多様になる。

参加社が共通の基盤を使用すれば、個々の報道機関がAI事業者ごとに提供方式を構築する負担を抑えられる。AI事業者にとっても、複数の提供元から一定の方法で加工されたデータを取得できる。記事を提供する側と利用する側を仲介する役割を、ソフトバンクが担う形となる。

2027年の商用化と提供分野拡大へ

試験期間では、著作物の保護、加工データの有用性、AI事業者による利用方法などを検証する。ソフトバンクは、参加企業から得た意見や運用結果を反映し、正式版へ向けて改善を続ける。商用化は2027年1月以降を予定している。

今後は報道機関や出版社に限らず、官公庁やウェブサービスを運営する企業からも情報提供を受ける構想が示されている。信頼性の高い公的情報や各分野のデータを加えることで、生成AIが利用できる情報源を広げる。提供者が権利を管理しながら参加できる共通基盤の確立を進める。

生成AIと著作物の関係をめぐっては、情報の利用条件と利益還元の方法が重要となる。Garan AIは、記事の保護、利用許可、データ加工、対価の支払いを一つの流れとして整備する取り組みである。試験運用を通じ、コンテンツ制作を維持しながらAI技術の発展を支える仕組みが検討される。

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