米政府が取引仲介で巨額報酬を得る構図
中国発の動画共有アプリTikTokの米国事業売却を巡り、米政府が巨額の手数料を受け取る見込みとなった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、トランプ政権は投資家連合から総額100億ドルを受け取る予定とされる。
政府が民間企業の事業譲渡に関与し、その対価として巨額の資金を受領する例は極めて珍しい。今回の資金は複数回に分けて支払われる計画で、すでに一部の資金が財務省に納められている。
TikTok米国事業は投資家連合が取得
TikTokは中国企業バイトダンスが運営するアプリで、米国では2億人以上が利用しているとされる。米国政府は安全保障上の懸念を理由に、同社の米国事業売却を求めてきた。
2026年1月、オラクルやシルバーレイクなどの投資家が中心となる連合が米国事業の株式の大半を取得し、新会社を設立した。さらにアラブ首長国連邦アブダビの投資機関MGXも投資家として参加している。
新会社が米国内サービス運営を担当
設立された合弁会社は、TikTokの米国内サービスの管理を担う主体となる。利用者のデータ管理やアプリの運用に関する責任を持つ仕組みで、米国内での安全対策を強化する狙いがある。
この体制により、個人情報の保護やサイバーセキュリティーの対策が強化されるとされている。アルゴリズムやデータ処理の管理についても、米国側の管理体制が導入される。
売却評価額は140億ドルとの見方
TikTokの米国事業の価値については、米政府関係者が過去に評価額を示している。バンス副大統領は2025年9月、事業価値が約140億ドルと推定されると発言していた。
今回の取引では、その評価額を前提に投資家連合が株式を取得したとみられている。ただし取引条件の詳細は公表されておらず、合弁会社側も具体的な情報をほとんど明らかにしていない。
売却手続き巡り司法判断が焦点に
TikTokの米国事業売却は政治的にも注目される案件となっている。2026年3月にはカリフォルニア州の投資家が、売却承認の取り消しを求める訴訟を起こした。
訴訟では、政府の決定が法的に正当だったのかが争われる見通しである。今後の司法判断によっては、売却手続きの扱いが改めて議論される可能性もある。