中国訪問で外交攻勢が鮮明
イランのアラグチ外相は5月6日、中国・北京を訪問し、王毅外相と会談した。イラン外務省によると、アラグチ氏は米国とイスラエルの行動を国連憲章に反すると批判する中国の立場に謝意を示した。あわせて、戦闘を終わらせるための外交手続きについて説明した。
中国外務省は、王外相が全面的な停戦を急ぐ必要があり、戦闘の再開は容認できないと述べたと明らかにした。王氏は交渉を続ける重要性にも言及した。イランはロシアとも接触を重ねており、アラグチ氏は先月27日にプーチン大統領と会談している。
米国は支援停止で交渉余地を提示
トランプ米大統領は5月5日、ホルムズ海峡の通航を支援する「プロジェクト・フリーダム」を短期間停止すると発表した。ペルシャ湾内の船舶を誘導し、海峡を通過させる取り組みだったが、イラン側との合意に向けて大きな進展があったと説明した。停止はパキスタンなど仲介国からの要請も理由に挙げられた。
この措置は4日に始まったばかりで、米政権は船舶の自由な航行と商取引の確保に資するとしていた。湾岸地域からの原油輸送再開を支え、世界経済の安定につなげる狙いも示されていた。今回の停止により、米国が軍事的圧力と外交交渉を並行させる姿勢が改めて示された。
イラン側は米国発表を批判
イラン国営メディアは、米国による支援停止について、ホルムズ海峡再開に向けたトランプ氏の取り組みがうまく進まなかった結果だと伝えた。革命防衛隊に近いタスニム通信も、トランプ氏の説明を厳しく批判した。米国が合意への進展を主張する一方、イラン側はその説明を受け入れていない。
イラン側では、米国にとって現状維持は耐え難いものだとの発言も出ている。先月の米国との協議でイラン側の交渉責任者を務めたガリバフ国会議長は、海上輸送の安全とエネルギー輸送をめぐり、米国と同盟国を非難した。双方の主張は依然として隔たりを残している。
周辺海域で攻撃情報が相次ぐ
ホルムズ海峡周辺では、緊張を示す事案が続いている。英海上貿易業務調整機関は5日遅く、貨物船1隻が正体不明の飛翔体に攻撃されたとの報告を受けたと発表した。詳しい内容は明らかにされていない。
アラブ首長国連邦は、イランからのミサイル・ドローン攻撃に防空システムで対処したと説明した。フジャイラの石油積出港が攻撃を受け、火災が発生したとも発表している。これに対し、イランはUAEへの攻撃を否定し、実施していれば明確に発表していたと軍報道官が述べた。
停戦維持と海峡開放が焦点化
米国とイランは先月7日、条件付きで2週間の停戦に合意したと発表した。これにより、イランは湾岸諸国へのドローン・ミサイル攻撃を停止したとされるが、その後もホルムズ海峡を通過できた船は限られている。米国もイランの港を出入りする海上交通への封鎖を続けている。
ルビオ米国務長官は、中国がイランに対し、海峡封鎖をやめるよう働きかけることを期待すると述べた。ホルムズ海峡は世界の石油とLNG輸送の約20%が通る重要な海上交通路である。支援停止、停戦維持、中国外交の3つの動きが、海峡の安定化につながるかが注目されている。