小売企業によるEC大手買収案が判明
米ゲーム販売大手ゲームストップが、電子商取引大手イーベイに買収案を提示した。買収総額は約555億〜560億ドルとされ、日本円では約8兆7000億〜8兆7900億円に上る。ゲームストップは、イーベイを完全子会社化する構想を示している。
この提案は、従来の企業規模の関係からみても異例である。報道では、ゲームストップの時価総額はイーベイの約4分の1にすぎないとされる。小売企業が、自社より大きなEC企業の取得を目指す構図となり、金融市場で大きな関心を集めている。
株式5%保有を背景に提案
ゲームストップは、すでにイーベイ株の約5%を保有している。この持ち分を背景に、今回の買収案を提示した。内容は、現金と株式を組み合わせ、1株125ドルで取得するというものだ。
この提示額は、5月1日のイーベイ株終値に約20%のプレミアムを加えた水準となる。買収提案としては、株主に対して一定の上乗せを示す形で設計されている。ゲームストップは、既存株主としての立場を踏まえながら、イーベイ全体の取得に踏み込んだ。
コスト削減効果を投資家に説明
ゲームストップは投資家向け書簡で、買収完了後12カ月以内に年間約20億ドルのコスト削減を実現すると説明した。統合による重複業務の整理や運営効率の改善を念頭に置いた説明とみられる。巨額買収の合理性を示すうえで、コスト削減効果は重要な材料となる。
また、買収資金の一部について、同社はTDバンクから約200億ドルの債務資金調達のコミットメントを確保したとしている。資金の裏付けを示すことで、提案の実行力を強調した形だ。残る部分は現金と株式を組み合わせる計画とされる。
イーベイは事前協議なしと説明
イーベイは5月4日、ゲームストップからの買収提案について「慎重に検討する」とする声明を出した。提案に対する賛否は明らかにせず、コメントを控える姿勢を示した。一方で、事前の協議はなかったと説明している。
事前調整を経ない提案であるため、イーベイ側の判断には時間を要する可能性がある。取締役会は提示額、資金計画、株主利益、事業戦略との整合性を精査する必要がある。イーベイが受け入れるか、拒否するか、または別条件を求めるかが今後の焦点となる。
実現性を巡り市場に慎重論
ゲームストップは2021年、SNSを通じて個人投資家が買いを集め、株価が急騰したことで注目された。その後も「ミーム株」として知られ、通常の業績評価とは異なる市場の関心を受けてきた。今回の買収案も、同社の知名度を背景に大きく報じられている。
ただし、市場関係者の一部は、買収の成立に慎重な見方を示している。理由として、イーベイの企業規模がゲームストップを大きく上回る点や、買収額が9兆円近い巨額となる点が挙げられる。ライアン・コーエンCEOは株主への直接提案も視野に入れており、イーベイ側の検討結果が次の局面を決める。