AI需要を背景に利益回復を示す
パナソニックホールディングスは5月12日、2027年3月期の連結純利益が前期比2.2倍の4200億円になる見通しを発表した。前期に計上した大規模な構造改革費用の反動に加え、AIインフラ関連事業の拡大が利益を押し上げる。営業利益は同2.3倍の5500億円を見込む。
同社はAI市場の拡大に伴い、データセンター向け機器の需要が伸びるとみている。特に停電時の電力確保に使う蓄電システムなどで、事業者からの引き合いが強い。楠見雄規社長は会見で「経営改革によって収益基盤を整えた。ここからは成長フェーズに入っていく」と述べた。
売上高は非連結化で減収見通し
利益の大幅増を見込む一方、売上高は前期比5.6%減の7兆6000億円となる見通しだ。住宅設備を手がける子会社が売却により連結対象から外れることや、為替の影響が減収要因となる。利益拡大と売上高減少が同時に示された点が、今回の業績予想の特徴となった。
会社側は中東情勢の悪化やメモリ価格の一段の上昇をリスクとして織り込み、営業利益に対して300億円の下押し影響を想定した。純利益予想は、アナリスト15人の予測平均である4464億円を下回った。市場環境の不確実性を含めた慎重な見通しとなっている。
データセンター向けに重点投資
パナソニックHDは、AIインフラ分野の強化に向け、2029年3月期までに累計5000億円を投資する計画を打ち出した。投資の中心は、データセンター向けの蓄電システムをはじめとする関連設備となる。AI活用の広がりに伴い、大量の電力を安定して供給する仕組みの重要性が増している。
同社はAI関連機器の売上高について、2029年3月期に1兆3800億円を目指す。産経の記事では、2028年度の売上高を2025年度比2.5倍に伸ばす計画としている。データセンター向け分散型電源システムでは、従来の2029年3月期8000億円目標を2028年3月期に前倒しで達成する見込みだ。
EV減速で生産能力を転換
電気自動車の需要が減速する中、同社は車載電池の生産拠点である米カンザス工場の扱いにも言及した。和仁古明グループCFOは、生産能力の一部をデータセンター向けに転換していく方針を示した。成長が見込める分野に生産資源を振り向ける動きが明確になった。
同社は傘下のパナソニックインダストリーが手がける車載モーター事業を、ミネベアミツミに譲渡することも発表した。これにより、事業ポートフォリオの見直しをさらに進める。AIインフラを中心とする成長領域と、再編対象となる事業の選別が同時に進んでいる。
改革後の成長局面へ移行
パナソニックHDは、1万2000人の人員削減が完了したことも明らかにした。国内の削減人数は8000人だった。前期の構造改革を経て、同社は収益基盤を整えたうえで成長投資へ軸足を移す姿勢を示している。
年間配当予想は1株54円で、前期の40円から増配となる。これは過去最高額とされ、利益回復見通しを株主還元にも反映させる内容となった。AIインフラへの大型投資、事業譲渡、生産能力の転用を組み合わせ、同社は次の収益源をデータセンター関連に定めた。