射撃訓練と重なった防衛政策の発信
小泉進次郎防衛相は7月20日、英国南部で開催中のファンボロー国際航空ショーで基調講演し、日本の防衛装備品を安定的に確保するため、生産と技術の基盤を強化する方針を示した。同時に、中国とロシアの海軍艦艇が日本の排他的経済水域内で実戦的な訓練を行ったことも公表した。
海上自衛隊は19日午前2時ごろ、沖ノ鳥島の南西海域を進む中露両国の軍艦4隻を捉えた。艦隊のうち、中国のミサイル駆逐艦1隻が射撃訓練を実施したとされる。船舶への損害は確認されていないが、日本周辺で進む軍事活動と国内の防衛体制整備が同じ講演の中で示された。
年内に生産・技術基盤の戦略策定へ
小泉氏は、安全保障関連3文書の年内改定に合わせ、防衛産業の今後の方向性を示す「防衛生産・技術基盤戦略」を新たにまとめる方針を明らかにした。国内で防衛装備品の研究開発や製造、整備を担う基盤を、中長期的に強化する狙いがある。
講演では、有事が長引く状況でも、必要な装備品を安定して供給できる生産能力を維持する必要性を強調した。保有する装備の充実だけでなく、継続的に生産し、消耗分を補える仕組みの整備を重視する考えを示した。戦略に盛り込む具体策や対象分野は明らかにされていない。
装備移転の拡大を抑止力につなげる方針
小泉氏は、4月に実施された防衛装備品の海外移転ルールの緩和にも言及した。新たな仕組みにより、戦闘機や護衛艦を含め、原則として幅広い装備を国外へ移転できるようになったと説明した。
そのうえで、同盟国や価値観を共有する国々が同じ種類の装備を運用し、製造や供給の基盤を共有することが重要だと述べた。複数国が共通装備を扱う体制は、運用面だけでなく、生産能力の維持にも関係するとの認識を示した。こうした協力を抑止力を支える基盤として位置付け、日本の防衛産業と国際協力を結び付ける姿勢を鮮明にした。
中露の海空両面での活動を問題視
小泉氏は、中露艦艇による今回の訓練に加え、中国軍の潜水艦発射弾道ミサイル発射試験を取り上げた。また、中国とロシアの爆撃機が日本周辺で共同飛行を行っていることにも触れ、両国の軍事協力が深まっていると説明した。
沖ノ鳥島南西で確認された軍艦4隻の動きは、こうした連携の一例として示された。中国海軍による日本のEEZ内での射撃が明らかになることは異例とされ、海上活動の内容にも関心が集まる。海上と上空の双方で共同活動が確認される中、日本側は複数の事例を通じて警戒感を表した。
国際協力と国内供給体制を同時に強化
小泉氏は、インド太平洋の安全保障と欧州・大西洋の安全保障は不可分だと述べ、日本が両地域をつなぐ役割を果たすとの考えを示した。英国の国際航空ショーを発信の場とし、日本周辺で起きている中露の軍事活動と、防衛産業政策の方向性を同時に説明した。
今回示された方針は、国内で装備品を生産し続ける能力を整えるとともに、同盟国や同志国との装備・生産面の連携を広げる内容となる。中露の海軍艦艇による訓練や航空部隊の共同活動が続く中、日本政府は国内外の基盤を組み合わせて抑止力を支える姿勢を示した。安全保障環境への対応と防衛産業の維持を一体的に進める方針が明確になった。