ASEAN外相会議、南シナ海と中東危機で地域の連携強化を確認

河本 尚真
经过

複数の安全保障課題を一括協議

東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議が7月21日、フィリピンのマニラで始まった。会議では、南シナ海を巡る中国との交渉、ミャンマー国内の混乱、中東情勢がエネルギー供給に与える影響など、地域を取り巻く複数の課題が取り上げられた。日程は24日までで、域外国との協議も予定されている。

議長国フィリピンは、国際社会の対立が深まる状況では、個々の国だけで安全や経済を守ることは困難だとの認識を示した。加盟国間の立場には違いがあるものの、地域全体への影響が大きい問題について共同歩調を取る必要性を強調した。今回の会議は、ASEANの結束と外交的な調整力を確認する場となった。

南シナ海行動規範の妥結目指す

南シナ海問題では、ASEANと中国が交渉を続ける「南シナ海行動規範」が焦点となった。行動規範は、海洋上での対立や偶発的な衝突を避けるため、関係国が守るルールを定める枠組みである。ASEAN側は年内の妥結を目標に掲げている。

ただ、交渉は長期化しており、各国が受け入れられる内容にまとめられるかは明確になっていない。合意文書が成立した場合でも、実際に各国の行動を制約できる仕組みになるかが重要となる。外相会議では、形式的な合意にとどまらず、紛争防止に機能する規範を整備できるかが課題として示された。

中東不安定化で供給リスク拡大

会議では、イランを含む中東情勢に対して深い懸念が表明された。ASEAN加盟国の多くは、原油などのエネルギー資源を中東から調達している。軍事的な緊張が続けば、輸送の停滞や原油価格の上昇を通じて、東南アジアの経済や市民生活にも影響が及ぶ。

21日に公表された共同声明では、中東情勢がエネルギーと食料の安全保障に短期的、長期的な影響を与えていると指摘した。ASEANは、地域で続く敵対行為を全面的かつ速やかに停止するよう要求した。さらに、重要な海上輸送路であるホルムズ海峡について、安全で制限のない航行を回復する必要があると訴えた。

ミャンマー対応では対話路線進展

ミャンマー問題については、ASEANとミャンマー側が合意した5項目の実施状況が検討された。内容には国内での暴力停止などが含まれており、加盟国は進展を評価するための基準を実務者レベルで整備する方針を決めた。履行の程度を確認したうえで、今後の関係を判断する。

ASEANはクーデター後、ミャンマーの首脳や閣僚を主要な会議から排除してきた。一方、7月にタイで開かれた非公式会合には、軍の影響を受ける政権が任命した外相が参加している。直接対話を重視する動きが広がる中、11月の首脳会議では主要会合への復帰が検討される状況も想定されている。

日本や米中露との対話で地域課題を協議

ASEANは、加盟国だけで地域問題を処理するのではなく、域外の主要国を含む外交対話を進める。7月22日には、日本、米国、中国、ロシアなどとの外相会議がそれぞれ開催される。南シナ海、中東、ミャンマーを巡る問題について、各国との立場の違いを調整する機会となる。

今回の外相会議で扱われる課題は、安全保障だけでなく、エネルギー価格、食料供給、海上輸送など幅広い分野に及ぶ。ASEANには、加盟国の結束を維持しながら、中国や米国を含む各国との関係を調整する役割が求められている。24日までの協議では、共同方針をどこまで具体化できるかが焦点となる。

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