オープンAIへの巨額出資を段階的に継続する方針
ソフトバンクグループは、生成AI「ChatGPT」を開発する米オープンAIへの出資を一段と拡大する。2026年7月末までの投資額は546億ドル、約8兆6000億円に達し、10月には100億ドルを追加する計画だ。出資が予定通り完了した場合、累計額は646億ドルとなり、持ち分比率は約13%に達する見通しとなっている。
同社はAIを中長期的な成長戦略の中心に据え、関連企業や計算基盤への資金投入を進めている。オープンAIへの投資規模は、ソフトバンクグループが進めるAI戦略の中でも特に大きい。生成AIの開発企業だけでなく、半導体設計やデータ処理を支える周辺事業も含めた投資体制を構築している。
評価額据え置きで4~6月期利益には寄与せず
2026年4~6月期末におけるオープンAIの公正価値は896億ドル、約14兆円だった。評価額は3月末から変わらず、当四半期の投資損益を押し上げる要因にはならなかった。巨額出資を進めている一方で、4~6月期決算ではオープンAIに関する評価益は計上されていない。
ソフトバンクグループの同期間の連結純利益は、前年同期比17.7%減の3473億円だった。売上高は10.9%増の2兆195億円となったが、アームの人員増加や研究開発費、株式報酬費用などが利益を圧迫した。オープンAIの評価が横ばいだったため、こうした費用負担を投資利益で補う効果は生じなかった。
保有するオープンAI株を活用した借り入れ
ソフトバンクグループは、出資を拡大するだけでなく、保有資産を利用した資金調達も進めている。ビジョン・ファンド2が保有するオープンAI株を活用するローン契約を8月に締結し、月内に100億ドルを借り入れる予定だ。保有株式の価値を資金調達に結び付け、次の投資に必要な財務余力を確保する。
一方、オープンAIが新規株式公開を2027年まで延期することを検討しているとの報道について、後藤芳光CFOは具体的な見解を控えた。投資家として将来の上場には期待しているとしながらも、他社の計画であることを理由に詳細な発言は避けた。現時点では、上場による保有株式の換金や利益確定の時期は示されていない。
AI計算資源の供給不足を成長機会と位置付け
後藤CFOは今後のAI投資について、需要に対して計算資源が大幅に不足しているとの認識を示した。AI分野への投資を過熱とみる見方がある一方、実際には演算能力の供給が需要に追いついていないと説明した。必要な設備が確保できなければ、AI技術や関連産業の成長速度が低下するとしている。
ソフトバンクグループは、こうした供給不足を解消する役割を投資機会として捉えている。オープンAIへの出資に加え、英半導体設計大手アームや米アンペア・コンピューティングなど、AI向け半導体に関わる事業基盤を拡充している。開発企業と計算基盤の双方に関与することで、AI産業全体の成長を取り込む戦略を進める。
出資拡大とAI事業の収益化をどう両立するか
AI投資を積極化する一方、2026年4~6月期の決算では関連費用の増加が減益につながった。アームでは技術者を中心とした採用が進み、研究開発や株式報酬に伴う支出が増えている。為替差損やデリバティブ関連損失も重なり、AI戦略の拡大が直ちに最終利益の増加へつながる段階には至っていない。
米インテルの株価上昇やバイトダンスの業績は投資利益を押し上げたが、投資先の評価は市場環境によって変動する。ソフトバンクグループは2027年3月期の通期業績予想を公表しておらず、今後の利益水準は示していない。オープンAIへの追加出資を進めながら、AI関連資産を継続的な収益に転換できるかが今後の焦点となる。