主要中銀幹部が集う会議がワイオミング州で開幕
世界経済や金融政策を議論する経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が8月27日、米西部ワイオミング州で始まった。会期は29日までで、各国・地域の中央銀行関係者や著名な経済学者らが参加する。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長をはじめ、カナダ銀行のマックレム総裁、日本銀行の田村審議委員らが意見を交わす。
金融市場が特に注目しているのが、ウォーシュ議長による28日の講演だ。5月の議長就任後、ジャクソンホールで講演するのは今回が初めてとなる。新たなFRB議長が同会議で登壇するのは8年ぶりとなる。
ウォーシュ議長が就任後初のジャクソンホール講演へ
ウォーシュ議長の講演は現地時間28日朝、日本時間では28日午後11時から予定されている。米国の物価情勢をどのように評価し、今後の政策運営をどう考えているのかが最大の注目点となっている。市場では講演内容が今後の金利見通しを判断する材料になるとの受け止めが広がっている。
ウォーシュ議長はこれまで、金融政策の方向を事前に強く示唆することには慎重な姿勢を示してきた。7月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でも、インフレへの対応について利上げだけが唯一の手段ではないとの考えを示した。こうした姿勢が今回の講演でも続くのかが焦点となる。
インフレ高止まりで年内利上げ観測が根強く残る
米国では中東情勢の影響や関税措置などを背景に、物価上昇への警戒が続いている。3月以降はインフレ率が前年同月比3%を上回る状態が続いており、FRB内部では政策金利の引き上げを求める圧力も強まっている。金融市場でも年内に利上げへ動くとの見方が根強く残る。
ジャクソンホール会議に参加しているFRB元副議長のアラン・ブラインダー氏は、原油価格の上昇や関税の影響を踏まえ、短期的な物価見通しを楽観できる状況ではないとの認識を示した。直近半年ほどでインフレ率が徐々に上向いているように見えるとも指摘している。
FRB内でも金利据え置きと利上げ判断が難題に
FRBが直面するのは、現在の金利水準を維持するのか、それとも物価抑制を優先して追加の引き締めに進むのかという判断だ。ブラインダー氏は、双方の選択肢をウォーシュ議長が比較しながら検討することになるとの見方を示した。政策金利を巡って意見が大きく分かれる状況だけに、今回の講演は議長の考えを示す重要な機会となる。
一方、9月のFOMCについては金利据え置きを見込む見方が優勢となっている。市場が注視しているのは、次回会合だけではなく、その後の金融政策を判断するための手掛かりだ。物価の高止まりが続くなかで、議長がどの程度まで政策判断の基準を示すかが問われる。
初講演で示す金融政策への考え方が最大の焦点に
歴代のFRB議長はジャクソンホール会議を金融政策に関する重要な情報発信の場として利用してきた。一方、ウォーシュ議長は短期的な政策調整を示唆する場になっている近年の傾向に疑問を示し、より大きな論点を提示する考えを示している。
市場との対話を重視すべきだとの意見もある。ブラインダー氏は、政策の方向性を示さず市場の推測に委ねる手法には問題があるとの認識を示した。インフレと金利を巡る判断が難しさを増すなか、ウォーシュ議長が初のジャクソンホール講演でどこまで自身の政策姿勢を明らかにするかに金融市場の関心が集まっている。