ネパールと中国側で多数の死者と不明者が発生
ネパールと中国・チベット自治区の国境一帯で26日に起きた大規模災害は、28日までに深刻な人的被害をもたらした。ネパール側では少なくとも489人の死亡が確認され、行方不明者は910人に達している。中国側でも5人が死亡し、558人が行方不明と報じられており、両地域を合わせた不明者は1450人を超える規模となった。両国の発表に重複が含まれるかは明らかになっておらず、被害状況の全体像はなお確定していない。
外国人537人と連絡取れず日本人5人も含む
ネパール政府は28日、所在を確認できていない外国人537人の一覧を公表した。内訳ではインド人が178人で最も多く、アメリカ人65人、ウクライナ人53人、マレーシア人51人、オーストラリア人35人、イギリス人33人、カナダ人25人、中国人24人などとなっている。日本人は5人で、全員が同じ名字とされ、日本政府は前日までにツアー参加者とみられる5人と連絡が取れていないことを明らかにしていた。中国側でも行方不明者558人のうち260人が外国人と報じられ、国際的な観光地域で被害が拡大した形となっている。
せき止め湖の形成で新たな洪水リスクが浮上
被災地では、土石流で河川がふさがれたことにより、上流部に水がたまるせき止め湖が生じている。ネパール警察は28日、チベット側で湖が決壊したとの警報を出し、住民や救助隊員、治安部隊に安全な場所へ移るよう求めた。中国側の調査チームは、河川の合流地点付近にできた湖を確認し、ギロン港周辺の洪水リスクを評価した。中国の水利当局は、降雨が続いた場合には3日以内に決壊の危険が高まるとの分析を示しており、湖の水量を安定させることが救助要員の安全確保にも直結している。
救助活動は一時中断後に再開し監視態勢を継続
中国国営メディアによると、湖から水があふれたことを受け、現場では救出作業が一時停止された。その後、水の流出が収まり水位がわずかに下がったとして活動は再開され、当局は周辺の変化を継続して確認している。中国当局は28日までに観光客555人を避難させたと説明している。ネパール軍も被害の大きい地域から約900人を救い出し、このうち119人が観光客だったと発表しており、両国で救助と避難が並行して進められている。
被害拡大の中で捜索と二次災害への警戒続く
今回の土石流について、ネパール当局は国境地域の山岳地帯で起きた氷河の崩落が巨大な洪水と土砂移動につながったとの見方を示している。急激な流れは川沿いの家屋を破壊し、道路を寸断したほか、ネパールと中国を結ぶ主要な国境検問所にも大きな被害を与えた。被災地域は宗教巡礼や登山、トレッキングで年間多くの旅行者が訪れる場所でもある。
現地では多数の行方不明者を探す作業が続く一方、河川やせき止め湖の水位監視も欠かせない状況となっている。今後の降雨によって洪水リスクが高まる可能性が当局から示されており、人命救助と二次被害防止を同時に進める厳しい対応が続いている。